原因不明の小児急性肝炎か 症例を国内初確認 欧米で報告相次ぐ
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肝炎は、文字通り肝臓で炎症が起こる病気です。ウイルスなどの感染症や自己免疫が原因の場合がほとんどです。肝炎の原因は一般的にA~E型の肝炎ウイルスが多いですが、その他のウイルスでも肝炎を起こす場合があり、現時点ではアデノウイルスというウイルスの関与が疑われています。肝炎が起こった際の症状は、倦怠感、食欲不振、黄疸(体が黄色くなる)といった症状で、早期の段階で気づくのは難しいかもしれません。肝臓は「肝」の臓器というぐらい普段から体の中で重要な役割を果たしており、肝炎が起きて機能不全に陥ってしまうと、最終的には残念ながら肝移植でしか助からないというケースもあります。
一点注意しておきたい点は、この「小児の原因不明の急性肝炎」が話題になる前から、頻度はそこまで多くないにしても一定数、子供の肝炎は起きていたはずです。現在は医療者からも注目が集まっていることから、以前はわざわざ報告されていなかったような症例が全国的に報告されるようになっている傾向もあり、今後報告される症例が世界で報告されている肝炎と関係がない可能性も十分あります。既に世界で150以上のケースが11カ国から報告されています。肝炎には様々な原因があるため、日本からの報告が今回の世界的な報告とそもそもリンクするのかも不明ですが、関連する可能性があるとして観察しておくことが望ましいでしょう。
原因は現時点で不明です。英国からの数十ケースをまとめた報告では、新型コロナワクチンの接種者が1人もいなかったことから、ワクチンとの関連は否定的と考えられています。また、これまで英国では約15%のケースに新型コロナが検出されているようですが、全てを説明できず、これまた主要な原因としては否定的です。
アデノウイルスが検査されたうちの7-8割に陽性となっているようで、関連が示唆されていますが、通常重度の肝炎を起こすウイルスではなく、全例で検出されているわけでもないことから、主要な原因ではないかもしれないと考えられています。
感染症のみならず、食物などが原因の可能性も否定できません。黄疸、嘔吐、腹痛などの症状がそれぞれ6割に報告されており、お子さんのそういった症状に注意して観察する必要があります。これまでほぼ全てのケースで肝酵素検査の著しい上昇が見られ(すなわち肝臓に無視できないレベルの障害を受け)、17人ものお子さんが肝移植を必要としており、1人の死亡も確認されています。
罹患しているのはいずれも子供たちで、一刻も早い原因究明が待たれます。今のところ共通する暴露が明らかになっていないようですが、過去の食物接種や行動歴含め、洗い出しが必要です。