巨大ITに包括規制、EUが合意 違法コンテンツに対応義務
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テクノロジースタートアップは国家の成長に不可欠。ナイーブにノーガードで海外のテック企業を受け入れるのではなく、規制を上手くもちいて国内産業育成をやる強かさが重要になる。中国やEUを見習う必要がある
同法案はEU内のすべてのネット関連企業が対象だが、月間利用者が4500万人以上いる大規模事業者は特に厳しい規制の対象となる。*ヘイトスピーチや児童ポルノ、海賊版の販売といった違法コンテンツの削除義務、*利用者に意図せずに不利な契約や決定をさせる「ダークパターン」の禁止、*宗教や出自、性的嗜好をもとにしたターゲティング広告の禁止、*偽情報への対応、*サービスの解約を加入時並に簡単にする、どれも当たり前のことでこれをやらなくてもいいという方はさすがにいないと思うのですが。やるのが大変、コストがかかる、アクセス数が下がり売上が落ちるというのは、莫大な利益を上げているプラットフォーマーにとって言い訳にすらなりません。
今回のデジタルサービス法案(DSA)が以前にNewsPicksで話題になった出来事として米大統領選後にトランプ氏のSNSアカウントがbanされた一連の騒動があります。
トランプ氏追放は「問題」=独首相、ツイッターに苦言
https://newspicks.com/news/5528595
トランプ氏のアカウントがプラットフォーマーの判断によってbanされたことに対して当時のメルケル独首相が「制限は可能だが立法者が条件を決定すべき」と見解を示したニュースです。
問題のあるコンテンツの扱いを「プラットフォーマーの判断」に任せる米国流に対して、民主主義のプロセスで定められた法のフレームワークを用意する欧州流の回答が当時から準備が進められていたDSAといえます。
DSAを主導した欧州委員会のティエリー・ブレトン(サルコジ政権の経済相)も合衆国議事堂襲撃事件の直後にこの欧州流のアプローチをアピールする記事をPoliticoに寄稿しています。
https://www.politico.eu/article/thierry-breton-social-media-capitol-hill-riot/
しかし前回の米大統領選といい今回のウクライナ問題といい、フェイクニュースが大きな社会的懸念となっているタイミングでDSAの話題がニュースになるのは、それだけこれが社会的にタイムリーな課題である事を反映しています。
EU規制に関しては何かと我田引水的な側面も皮肉られますが、理念先行とはいえ社会的課題に真っ当に対峙している側面もまたありますので、その点は今後の日本での取り組み方も含めて評価分析はなされるべきだと思います。
DSAの概要の日本語解説は今のところ次のJETROの記事があります。今回の合意を受けて更新版が出てくることを期待。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/12/a65766d9a8242df7.html