[東京 14日 ロイター] - ファーストリテイリングが14日に発表した2021年9月―22年2月期(中間期)の連結業績は、営業利益が前年同期比12.7%増の1892億円と過去最高となった。売上高にあたる売上収益は同1.3%増の1兆2189億円。欧米のユニクロ事業の伸びが寄与し、売り上げ、利益ともに会社計画を上回った。

純利益は同38.7%増の1468億円だった。

一方で、高騰する原料費・物流費やロシアでの一時事業停止などを織り込み、通期の売上高と営業利益は据え置いた。

柳井正会長兼社長は会見で「安易な値上げはできない」と発言。原材料高や円安などにより、一部商品で値上げを実施したものの、さらなる値上げについては、慎重な姿勢を示した。

中間期決算では、国内やグレーターチャイナのユニクロ事業、ジーユー事業が減収減益となった。一方で、欧米事業の伸びが売上収益、利益ともに貢献した。

北米のユニクロ事業は、今期に初の黒字化を見込み、27年には売上3000億円を目指すとした。欧州も大幅な増収増益で、東南アジアでも売上高と営業利益がともに過去最高を達成するなど、第1・四半期から引き続き海外ユニクロ事業が業績の伸びをけん引した。

中間期決算が会社予想を上回ったものの、2022年8月期の連結売上予想2兆2000億円、営業利益2700億円は据え置いた。IBESがまとめたアナリスト11人の通期営業利益予想の平均値は2783億円。

岡﨑健最高財務責任者(CFO)は「現時点で想定される影響を織り込んだ」といい、新型コロナウイルスの影響、原材料費・輸送費の高騰、ロシアの店舗の一時閉店などを業績予想に加味していると説明した。

通期の連結純利益予想は1900億円(前年比11.9%増)に上方修正した。従来予想は1750億円だった。円安の進行による金融収益などの増加を織り込んだ。

ただ、円安について柳井氏は「日本全体からみたらデメリットばかり」といい、「これ以上続くと日本の財政が悪い方向にいくのではと憂慮している」と語った。

来期はグループ全体で300店舗以上の出店を計画している。近い将来、全世界で年間400―500店舗の出店を目指す。

会社の経営を任せられる人材も育ってきていると説明し、自身の後継についても柳井氏は「大枠は固まってきている」とした。