【解説】ロシア産ガス脱却で、世界のLNG争奪戦が始まる
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「エネルギー転換」といっても、インフラからつくっていくとなると、何年もかかります。
英国のように、原発を8基新設する、という大型投資もありますが、できれば今あるインフラを使いたいし、そうしないと今年や来年をしのぐことができません。
今ヨーロッパ諸国にあるインフラ、つまりガス火力発電所やパイプライン、港湾の貯蔵施設ですが、そこにどこから天然ガスを持ってくるか、です。
できれば、タンカーよりもパイプラインで輸入する方がコストが下がります。
天然ガス生産国の上位は、
1位 米国
2位 ロシア
3位 イラン
4位 中国
5位 カタール
6位 カナダ
です。9位にノルウェーがありますが、ヨーロッパの需要には足りません。
10位にアルジェリアがあり、スペインとイタリアは、こここからパイプラインで輸入しています。
結局、ドイツが一番ガスが足りなくて困る、という立ち位置ではあります。
3位のイランが、経済制裁が解除されれば、パイプラインでドイツまでガスを輸出することも可能です。需要も満たせます。
イランの経済制裁解除は、ドイツにとって、これまで以上に渇望する案件になっています。しかし、米国の意向もあり、イランの国内事情もあり、そうすぐにはイランの天然ガスがドイツに供給できるようにはならないでしょう。この記事の最後の部分、すなわち欧州がLNGの利用を、再生可能エネルギーが普及するまでの一時しのぎと考えているうちは、開発業者は警戒する、という点が重要だと思います。
LNG関連の施設には莫大な投資が必要ですから、通常は買い手が20年とかの長期で購入する契約がなければ開発業者は当然開発できませんし、ファイナンスもつきません。つまり欧州側が2030年以降もLNGを使い続けることにコミットして長期で購入する契約に調印しなければ開発事業は始まりません。
今は政治的に「LNGが必要だ」ということで話が進んでいるように見えますが、カーボンニュートラルに向けた政治的な目標との整合性など、まだどうなるかわからないのではないかと思います。EUの英断には頭が下がります。欧州のガス供給の40%をロシアに依存していますが、それを1年以内に3分の2ほど削減する目標を立てました。やはり、地続きという切迫した環境にあるからなのでしょうか。ロシア依存が大きなリスクになると考えているようです。
当面の解決策はLNG。再生エネルギーへの移行にも拍車がかかるでしょうね。コロナパンデミックで一気にデジタル化が進んだように、ロシアのウクライナ侵攻で、エネルギーの大転換が加速するかもしれません。mRNAのような画期的な解決策が生まれればいいのですが。