2022/4/8

【注目】急成長「越境EC」の主戦場を狙うTikTok

POINT
  • バイトダンス傘下のTikTokは、2019年にライブストリーミングの配信機能をローンチ。2022年末には月間アクティブユーザーが全世界で15億人に達するとみられている。
  • 「メイド・イン・チャイナ、ソールド・オン・アマゾン」のビジネスモデルが、海外の消費者を取り込むために新しいプラットフォームを模索するなか、越境EC(クロスボーダーeコマース)の分野でTikTokが台頭している。
INDEX
  • 越境ECはブルーオーシャン
  • ライブ配信がECの主流に
  • 米英とインドネシアで展開スタート
  • Amazonの取り締まりが追い風に
  • ソーシャルコマースの人気が拡大
  • 中国での盛り上がりはアメリカの10倍
  • ユーザーの信頼を得るのが重要課題
  • 自治体も積極的にネット業者を支援

越境ECはブルーオーシャン

中国南部・広東省広州のライブストリーマー、リッキー・リーが配信するのは、たいてい深夜から朝8時にかけて。
深圳や上海など国内の消費者ではなく、ロンドンやマンチェスターなどオンラインでつながっている海外の消費者に向けて、オルゴールやハリーポッターのフィギュアを宣伝する。
英語の講師や翻訳の仕事をしたこともあるリーは、人気の短編動画アプリTikTokで「Live Shopping on TikTok Shop」を利用して、越境ECの広大な「ブルーオーシャン」に手を伸ばしている。
「みんなが始めたばかりだから、何もかもが大変だし、誰も何も教えてくれません」と、リーは言う。その言葉はリーの中国人のボスで、アマゾンで小規模なEC事業を営む人物の教えでもある。
広州のライブストリーマー、リッキー・リー
彼らはTikTok Liveの市場がさらに拡大すると見込んで、海外の消費者を取り込もうとしている。
バイトダンス傘下のTikTokは、調査会社eマーケターの予測によると、今年末には月間アクティブユーザーが全世界で15億人に達する見込みだ。
TikTokは2019年からライブストリーミング・サービスを開始し、昨年もいくつか新機能を導入している。
「メイド・イン・チャイナ、ソールド・オン・アマゾン(中国でつくってアマゾンで売る)」という従来のビジネスモデルが、アマゾン側の取り締まりによって岐路に立たされるなか、今後TikTokが越境PCの主要プラットフォームになる可能性は高いとアナリストらはみている。
(Justin Sullivan/Getty Images)