【全文書き起こし】ウクライナ・ゼレンスキー大統領が国会で演説 「このウクライナに対する侵略の"津波"を止めるために」
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昨日のゼレンスキー大統領による国会演説は、実質的に3つの構成だったと考えます。綿密に考え抜いた表現で、日本社会の事情に配慮された言葉であったと考えます。
1.ウクライナの現状に共感して欲しい
ゼレンスキー大統領は、今ウクライナはロシア軍により、チェルノブイリ原発で事故に繋がりかねない危機的状況と、化学兵器による攻撃が迫っている危機を訴えていました。これは、直接的な表現は避けたものの、福島第一原発事故、地下鉄サリン事件を想起させるものです。その他にも「北方領土」や「津波」「海上封鎖」など、直接的な表現を避けつつ、日本人がイメージできる大惨事の例えを語ることで共感を期待されたように思えます。
日本は長く平和が続いており、戦争がいかに悲惨なものかイメージできないはず。しかし、自然災害や組織的なテロ(地下鉄サリン事件)によって大惨事は経験しており、ウクライナの危機的状況に共感できることを期待された言葉だと解釈しました。
2.日本への感謝と平和が戻るための努力を続けて欲しい
日本がアジアで最も早くロシアへの制裁を行ったことに感謝するとともに、ロシアへの制裁を継続することで、ロシアが戦争を終わらせるように誘導して欲しいというものでした。この日本への感謝の言葉は、日本とウクライナは遠く離れているが心は繋がっていると表現することで、深く謝意を表したものだったと解釈しました。
3.ウクライナの復興を助けて欲しい
戦争が終われば、ウクライナを復興するための支援をして欲しいというものでした。それは経済的な支援だけでなく、国際的なルールの枠組み再構築において日本がリードすることを期待するものでした。
日本は欧州から遠く離れた国であり支援内容には限りがあることは理解しており、武器の供与とかではなく、国際平和のために貢献して欲しいという思いだと解釈しました。
何を話するか分からないということで物議を醸したウクライナ大統領による前例の無い国会オンライン演説でしたが、特に刺激的なものはなく、一見すると無難に終わったという印象です。しかし、ウクライナ大統領による日本への感謝の言葉が日本の国際社会における存在感を示したと考えます。
経済制裁を「ロシアへの攻撃」とは言わず、平和を取り戻すための圧力と表現したのも日本社会への配慮であり、その配慮こそが感謝の現れだったと考えます。
注目のコメント
別記事でも、コメントしましたが、「ウクライナに対する侵略の"津波"を止める」が、司馬遼太郎の坂の上の雲で、形容された、ロシア軍の津波をトタン板一枚で支える日本軍を意識してるように、聞こえたのは、私だけでしょうか?
この津波の言葉が、表すのは、ロシア軍の物量です。それに立ち向かい辛くも勝った日本、それに向けた勝利へのメッセージのようにも、思いました。日本に具体的に何か要求しても経済制裁以外はできないから、日本での演説が世界に拡散してウクライナの存在感を増すことが主な目的だったのだろうか。
最重要だし批判的なことを言わなくてはいけなかった対ドイツなどの主要ヨーロッパ各国向けの演説の後で、この柔らかい演説で世界を味方につけておく感じにも受け取れる。演説を聞いて徹底抗戦を1ヶ月間主導してきた、類まれなるリーダーシップを感じました。
NATOの平和維持部隊の派遣やロシアの核兵器使用の可能性などが報じられているように、さらに戦火は激しさを増すこと間違いありません。
日本も出来ることは目先の損得を無視してでも続けていくべきだと考えます。