ポーランドなど東欧3カ国首脳、ウクライナ首都を訪問
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今回のキエフミッションの中でポーランドは、首相、副首相を含む最大のミッションを送り出しています。
その背景として「急ぎすぎたロシア産ガスからの脱却」がキーワードとして浮かび上がってきます。ポーランドは、2023年からヤマルガスパイプラインを通じて輸入していたロシア産ガスの輸入を100%ストップします。
その代わり、故レフ・カチンスキ大統領の名称を付した北部のLNG基地より、カタール・米国・ノルウェー産の液化天然ガス(LNG)を輸入し、同国のガス需要の全量を賄います。
シフィノウイシチェ(Świnoujście)に建設されたLNG基地の再ガス化能力は2024年初には83億㎥に達する見込みで、近隣のグダンスク港には、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU: Floating Storage Regasification Unit)も建設されます。
これだけ充実したLNG受け入れ施設は欧州でも際立った存在です。
ところが、LNGはパイプラインによる地上ガス輸送に比べ、格段に値が高く、経済優先の決定というよりは反ロシアというイデオロギー優先の政策決定でした。
ポーランドとしては、これ以上、ウクライナのパイプラインインフラが破壊され、将来の平和時の(そして国際社会に復帰した)ロシアからの天然ガス輸入の可能性が遠のくことは避けたいとの隠れた思惑があります。
そこで、NATOによる平和維持活動を戦時のキエフで発表し、エネルギーインフラの破壊を止めようとしている、と見ることも出来ます。
すでに小生が住む首都ワルシャワの人口の15%はウクライナ避難民が占めています。しかしながら、首都ワルシャワの平均所得は、購買力平価でみた場合、2019年にEU平均の160%に達しており、この程度の人口増加圧には耐えられる規模です。
ポーランドは東西欧州の要に位置し、エネルギー問題は政策の重要事項であり続けています。
https://energia.rp.pl/gaz/art19223731-wzrosna-mozliwosci-importu-lng-do-polski
https://300gospodarka.pl/analizy/gazoport-w-swinoujsciu-oto-mapa-ktora-pokazuje-skad-polska-kupuje-skroplony-gaz
注目のコメント
この3か国首脳によるキエフ訪問での最大の提案は、「ウクライナ国内での国際平和維持部隊の展開」でしょう。
米国や英独仏といった、NATO諸国よりも踏み込んだ提案です。
平和維持部隊の展開(PKO)には、紛争当事者双方の同意が必要です。つまり、朝鮮半島の38度線のような境界線をウクライナ国内に引いて、その線の上に平和維持部隊が展開して、ロシア軍がそこから先に進まないように監視する、というものになるでしょう。
その線よりロシア側は、実質ロシアの支配地域になるでしょうが、キエフやオデッサまで占領されるよりはまし、というふうにもいえます。
ロシア軍が同意しなければできないですが、どこに線を引くかにもよるでしょうが、その同意は難しいでしょう。
NATO平和維持部隊、ウクライナに派遣を ポーランド副首相
https://mobile.twitter.com/afpbbcom/status/1503959242247659521ロシアのお陰ともいうべきか、反ロシアで欧州諸国や分断されていた国内社会も結束を取り戻しつつある。ウクライナとしては隣国のリーダーたちが全面協力してくれるのはとても心強い反面、ロシア軍に狙われないように万全の警備体制を敷く必要があるだろう。