[10日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースは10日、ロシア事業を段階的に閉鎖すると明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻を受け西側諸国が導入した制裁措置で事業環境が厳しくなる中、米大手金融機関として初めて撤退を表明した。

ゴールドマンは声明で「規制と許認可の要件を順守し、ロシア事業を縮小している」と明らかにした。関係筋は、ゴールドマンが直ちにロシア市場から撤退することはせず、段階的に事業を縮小していくと予想。撤退による損失は軽微との見方を示した。

さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の余波で、モスクワにいるゴールドマンの社員の約半数がドバイに移動したか、移動中であると明かした。モスクワの従業員数は80人程度。移転したスタッフの一部は、まだモスクワにいる社員と協力して業務の整理に携わる見通しで、ロシア部門のトップはモスクワに残るもようだとした。

ゴールドマンの年次報告によると、ロシアへのエクスポージャーは6億5000万ドル。

一方、JPモルガンも声明で「世界各国の政府の指示に従い、ロシア事業を積極的に縮小している。ロシアで新規事業は行っていない」と表明した。

それによると、ロシア事業は現在、グローバル顧客の既存債務処理や決済、ロシア関連リスク管理の支援などに限定されているという。モスクワの従業員は約160名。最新資料によると、融資残高上位20カ国にロシアは入っていない。

他の米大手金融機関では、シティグループが9日、ロシアの個人向け事業をより限定すると表明。欧州勢では、オーストリアのライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)が撤退を検討していると関係筋が明らかにしている。

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