[ミラノ 29日 ロイター] - 自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI><FCAU.N>は29日、傘下の高級車メーカー、フェラーリを分離・独立(スピンオフ)し、株式の10%を上場するとともに、25億ドルの転換社債(CB)を発行すると発表した。

同社は事業再建に向け、今後5年で480億ユーロ(610億ドル)を投じる方針を明らかにしており、必要資金を調達する狙いがある。

FCAの取締役会は来年スピンオフを完成させるように経営陣に指示した。フェラーリ株の80%はFCAの株主に分配される。10%は、創業者エンツォ・フェラーリ氏の息子でグループの副会長を務めるピエロ・フェラーリ氏が保有する。

フェラーリ株の上場は米国を想定しており、可能ならば欧州での上場も目指す。

FCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)は発表文で、「2014─18年経営計画の実行を確実にし、株主にとっての事業価値を最大限に高めることにわれわれは取り組んでおり、FCAとフェラーリが別々の道を進むことは適切な判断だ」とした。

また今回発行される転換社債は、満期を迎えると強制的にFCA株に転換される。社債保有者には、上場するフェラーリ株の引き受け権が割り当てられる。

ミラノ市場上場のFCA株は、発表を受け18%超急伸し、4月23日以来の高値をつけた。

Ifigestのファンドマネージャー、ロベルト・ロッティチ氏は「FCAは資本をめぐる懸念を一発で解消したようだ」とし、フェラーリのスピンオフはFCAのバリュエーション改善に寄与する」との見方を示した。

また同日発表の決算が精彩を欠く内容となったため「フェラーリ株の引き受け権と抱き合わせすることで、円滑な転換社債の発行を狙ったのだろう」と指摘した。

同社がこれに先立ち発表した第3・四半期決算は、営業利益が7%増の9億2600万ユーロ(11億8000万ドル)と、コンセンサス予想の9億4000万ユーロを下回った。

売上高は14%増の236億ユーロだった。

*内容を追加します。