2022/3/6

【注目】アマゾンが推進する「小売革命」の最新形態

INDEX
  • 変身を遂げた大手食品スーパー
  • 店舗運営をほぼ完全に自動化
  • 4年におよぶ実証実験の集大成
  • ディストピアか、最先端か
  • セルフサービスの未来
  • 客のイタズラもシステムに完敗

変身を遂げた大手食品スーパー

「手のひらで入りますか?」
2月末にワシントンのグローバー・パーク地区に新規開店したホールフーズ・マーケットの店舗で、アマゾンの従業員が明るく声をかけてきた。彼女は気さくな口調で続けた。「アマゾンのアプリをお持ちなら、QRコードでもお買い物ができますよ」
「手のひらでやってみます」と、私は答えた。
端末で両手をスキャンして、自分のアマゾンのアカウントとリンクさせる。所要時間は1分足らず。私は右の手のひらをゲートの読み取り機にかざし、全米で最も洗練されたテクノロジーを誇る食料品店に入った。
それから30分間、買い物をした。カリフラワーの小袋、グレープフルーツ味の炭酸水、箱入りのイチゴ、オーガニックチキン・ソーセージのパック。カメラとセンサーが私の動きを一つひとつ記録して、バーチャルな買い物かごをリアルタイムで更新していく。
レジでの精算は不要。そのまま店を出れば、後でホールフーズから──つまり、アマゾンから──私のアカウントに請求が届く。
(Ting Shen/The New York Times)