全日空社長、JALと提携拡大の余地ある-整備部品の共有など
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実はJALとANAで共同出資している事例はすでにあり、例えば給油や通信など航空関連の一部事業について関連企業と航空会社(JAL,ANA)で合弁会社を立てていることが挙げられます。空港の民営化に際しても、共同出資して運営会社を設立した事例はあり、JALとANAが水と油の仲でどうにも接点がないというものでもありません。
特に空港の民営化は航空会社の事業のバランスシート(会計上の意味とは異なりますが、事業規模という意味です)を整理するうえでは良いチャンスとも言え、航空会社はあくまで飛行機を使って旅客や貨物を運送してナンボの会社、という大前提に戻り、その他の空港での保安検査や貨物の積み下ろしなどの地上作業、ケータリングや給油などといったオペレーションは空港を中心として空港会社に紐つくようにして、航空会社ごとの呪縛から解き放つことができるようになります。仮にJALの人員には余剰があるのに、ANAの人員には余剰がないというような非効率な状態があるとしたら、航空会社ごとではなく空港会社で人員を持ったほうが効果的であることはすぐにイメージいただけることと思います。
整備の部品の共有についても、給油や通信などと同様に航空機製造メーカーと合弁する形で航空機部品についてのロジスティックスサービスを展開するという解が考えられます。JALとANAが個別に海外から部品を購入して取り寄せるのではなく、あらかじめ部品の倉庫としての事業を合弁でやってしまい、JALとANAはここから部品を購入するようにすれば使いたいときに使いたい分の部品を国内でスピーディーに調達できるようになります。発想としては大いにアリだと思います。ただし、10年以上先を考えたときにANAは787や777Xが主力となっており、JALは787とA350が主力であって製造メーカーが異なることが気になるところです。ボーイングと同時にエアバスがそうした合弁事業に出資するとは考えにくく、JALとANAよりもさらにハードルが高いかなと思います。