『ドライブ・マイ・カー』アカデミー賞作品賞にノミネート。日本作品で初の快挙
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注目のコメント
先日、鑑賞し、引き込まれるような3時間。傑作と感じました。映画評論家の故・水野晴郎さんが「金曜ロードショー」の決め台詞「映画って本当にいいものですね」を思い出しました。
村上春樹の同名の短編をそのまま再現したのではなく、3つの短編をベースに、オリジナルと言ってよい脚本にまで練り上げられた内容。全体では、様々場面があるのに長い長い戯曲のように一つにつながっている脚本の妙。実際に3時間という上映時間でしたが、長いといってもその長さを感じさせない話の流れ。棒読みのように聞こえる不思議なセリフ回しによってかえって引き込まれますし、作品の趣旨を考えると理解できます。
各役者さんがそれぞれ名演でしたが、特にドライバー役の三浦透子さんの存在が本作品のインパクトを大幅に高めたと思います。終盤にかけてのパク・ユリムさんの存在感も印象に残っています。
また、個人的には冒頭の方でインドネシア語が聞こえたことに驚きました。手話も含む多言語劇の展開も面白かった。言葉を発しないはずの手話の力強さも印象に残っています。
恐らく本作品はチェーホフを知っているともっと深く楽しめそうで、噛めば噛むほど味わいが出てきそう。
また、本作品は韓国で撮影する予定がコロナの影響で広島を中心とする撮影に切り替わったようです。そうした条件の変化のなか、日本映画史に残る名作を撮った濱口竜介監督が素晴らしい。アカデミー賞監督賞に日本人のノミネートは黒澤明監督以来とのこと。
全体を通じて、広島など各地(ほかの地名は敢えて伏せます)、チェーホフ、英・中・韓・独・インドネシア・韓国手話の多言語という不思議な、えも言われぬ空気感。非常に印象に残りました。濱口監督の「偶然と想像」「偶然と想像」「ハッピーアワー」などもあわせてみて欲しいところです。
本作品の予告編も掲載されている公式サイトはこちら。
https://dmc.bitters.co.jp/
なお、昨年の作品賞を受賞した「パラサイト」については、受賞翌日に下記の記事を書きました。
https://newspicks.com/news/4620752素晴らしい!久しぶりに授賞式の中継を見ようかと思います。
いろいろな意味で、ちょうどよいタイミングによい作品が出たものです。アメリカの映画業界はコロナのために壊滅状態で、お金をかけて大作を作っても大ヒットしない(人がどうせ映画館に行かない)ために、インディ作品やNetflix作品が活躍するようになっていると思います。その中で、ここしばらく韓国作品の活躍でアメリカの映画人の間でも「アジア映画」に対する先入観がかなり違ってきているのでしょう。
この作品は、村上春樹原作なのでアメリカ人でもまるっきり未知の世界でないことや、作中で多言語・多民族(特に韓国・アジア)が重要な役割を果たすことが時流に合っていることなども、注目される要素だと思います。
先日サンフランシスコのインディ映画館で見ましたが、長いけれど飽きずに心地よくストーリーがはいってくる感覚で、不思議な映画だと思いました。凄すぎて凄すぎて凄い。。。
特に加えてコメントする事なんてない程の賞賛の嵐のなかで、少し違った視点で極個人的に嬉しかったのは、ハッピーアワーのクラウドファンディング に参加していたコレクターの方々のツイートの数々。すごく時間軸の長い、それこそ想像力が必要な物語だけど、クラウドファンディング の創造力と新しい感動の形が可視化された風景のようでいて、感動しました。
とはいえ、この凄いニュースにも濱口さん本人はとても冷静に先を見据えているであろう事を考えると、身が引き締まります。
ちなみに、現在上映中の「濱口竜介特集上映」「偶然と想像」と共に、3月4日から『K2』でもドライブマイカーの上映が決定しました。
是非!下北沢にお越し下さい!
https://twitter.com/k2shimokita/status/1491056252557824004?s=21