不眠症治療アプリのサスメドが承認申請へ
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医療機器がその販売前に製造販売承認の審査を受けないといけないことは、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)により定められています。しかし機器のほとんどは治療を目的にするものではありません。例として市販体温計ですら「医療機器」です。その品質や安全性等を確保するための基準をクリアしないと体温計として販売することはできません。
近年この対象に「プログラム医療機器」を含めるよう規制当局から通達されています。日本のアップルウオッチは「プログラム」としての製造承認を受たあと、心電図機能付きが販売できることになりました。
医療機器のほとんどすべては医薬品と同意の「製造承認」ではありません。サスメド社のプレスリリースの見た範囲の見解ですが、
(1) 医薬品に代わる治療を目的にする
(2) 「不眠障害患者」を対象とした二重盲検比較試験を実施して治療効果を確認(成績等については、今後、論文・学会等にて報告)
とし、医薬品と同意の(治療目的の)製造承認を目指す意図はあるようですが、以下の問題点が指摘できます。
(1) については、「医薬品の代わり」なら現在標準になっている治療方法との比較をする必要がありますが、プレスリリースを見る限り、「治療アドバイス機能付き」vs「治療アドバイス機能なし」の比較であり、どちらも標準的な治療法でないことから、基準を満たすものではないと思います。
(2) については二重盲検試験と記載しているものの、患者の割り付けが無作為化されていたとしても、アドバイス機能あり・なしのブラインドはできないと思われるため、患者、医師ともにその事実を知ることができ、二重盲検試験の基準は満たせないと思います。
したがって、現時点では「不眠症の記録または指導」用プログラムでの承認はありえても、医薬品に代わる治療法としての医療機器承認を得ることは難しいと思います。記事はミスリードを誘いそうです。今後を注視します。
「不眠障害治療用アプリケーションの製造販売承認申請について」(サスメド 2022年2月1日)
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS82385/eb2f7cd3/894b/4204/bdc2/b621e69a9732/140120220121570743.pdf不眠障害によって引き起こされる寝不足は最大の労働生産性損失(プレゼンティーイズム)です。一方で、効果不明のエセ睡眠改善グッズが数多く出されおり、これまで大きな課題感を持っておりました。
このアプリは治験で治療効果が確認されたものとのこと。
医師による診断と処方が必要になるようですが、治験通りに治療効果があるのであれば、とても期待感が高まります。
産業医からの処方など進めば企業の健康経営にも直接効いてきそうです。国内唯一のDTx特化企業として昨年上場したサスメドが厚労省に不眠症治療アプリの製造販売承認を申請しました。
プレスリリース:https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS82385/eb2f7cd3/894b/4204/bdc2/b621e69a9732/140120220121570743.pdf
昨年、塩野義製薬と販売提携契約を締結しており(マイルストーン収入として最大47億円を受領)、年間400億円の売上実現に向けて開発、連携していくようです。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS82385/e167968b/3ac3/42ba/9f86/0b1660e7fab5/140120211227561595.pdf