「うまい棒」はなぜ42年間も「10円」をキープできたのか
コメント
注目のコメント
規模の経済性を戦略的に確保したという分析でそれは確かに正しいと思います。筆者の意図としては、企業努力でコストを回収しようとすると賃下げなどのブラック化につながるが、うまい棒についてはそうではなかったとの事です。
しかし、この点についてはエビデンスが欲しいところです。
従業員の賃金水準の低さは今日の日本の課題の一つですが、この点はどうでしょうか。
今回の20%の値上げで、果たして本当にこの記事でいう社内へのコストの押し付けになる企業努力を伴わないでも、妥当な利益水準の確保に繋がるものなのかどうかが気になります。商品のブランド力やそもそもの値段の安さを考えるともっと大胆に値上げしても違和感はないと思いますので。単純に、10円で十分満足できるお菓子をずっと売り続けてきたことに脱帽です。
記事の中では、漠然とした「企業努力」ではなく、しっかり戦略をもったうえで企業規模拡大を図ってきたことが否決であるという結論。
それは全く否定しませんし、そうだと思うのですが、直感的には企業規模の拡大だけで10円を維持するのは難しいように思われ、そこには規模以外に地道な努力が積み重なったものだと感じます。もしかすると筆者の方が否定する給与の抑制傾向もあったかもしれません。
別記事でも何度かコメントしていますが、「いいものには適正な対価を払う」社会になってほしいなと思います。安ければ何でもいい、だと良い商品やサービスはいずれ出てこなくなります。
その意味では、うまい棒の値上げに否定的な意見が少ないのはいいお話でした。(みんなに「さすがに安すぎるだろう」と思わせる値段でしたね。)この方さぁ、過去記事掘り出してきて想像で書いてるけど、何故直接取材しないのだろう。部外者コンサルの妄想を読まされる事ほど馬鹿馬鹿しい事ないと思うんだけど…。
私は記事の中で武藤氏が弱音を吐いたとされる13年前当時、リスカに原料を供給する側の人間でした。弱音の原因の1つを生んだ側です笑。
2007-2008年に起こった世界的な原油高に伴うバイオ燃料需要の高まりと食品相場の高騰。農産原料を輸入する身でしたが、あらゆる作物がバイオ作物相場に煽られ、その時期を境に原料相場は全く別物に変わった。当時彼らを含め国内製菓業界に対して全般的に20-30%ほど原料値上げをせざるを得なかったけど、商売がなくなるか値上げを飲んでもらうか…その2択しか残されていなかった状況でした。
そんな原料屋側視点から見たリスカの最大の凄さですが、とにかく数字が全く落ちないことに尽きます。一般に波の非常に荒い製菓業界において、鉄板と言って良いほど安定した数字を出す彼ら。担当当時年次出荷予測を立ててましたが、基本前年のコピペをベースにしてました。前職退社するまで約10年ほど、誤差の範囲以上の落ち込みは一度も経験がありません。別格通り越して、異常ですよ、ある意味笑。
そこが何よりも最大のリスカの強み。
それを支えているのは、確実に品質です。まず良質な食品素材をしっかり使う。そして味づくりをしっかり行う開発力。色々な(言えない)理由でリスカを去る方々もいるわけですが、転職先で製菓事業を新規で大成功に導くリスカ出身者もいるくらい、非常に優秀です。
そうして子ども達の心を品質でガッチリ掴んだ定番商品を大事に売り続ける。最終的にはこれにより原料使用数量がまとまり、調達力・競争力の維持向上につながる。
近年製菓業界は完全に限定販売主体の舵取りに移行し、多くの製菓メーカーの新商品はコンビニ棚を狙っては1-2週間もしないうちに消えていきます。そしてスポットから定番に移ることは、ほぼありません。
その一方で独自商品で確保した棚で、定番品を売り続け数字を出し続けてきたリスカ。多角化や工場を増やしたことよりも、あくまでも定番商品と顧客を大事にし、そして販売数を維持することによって原料事業者にしっかり数字を還元し続けてきたことこそが、彼らのコスト維持を支えてきた最大の理由だと思いますよ、私は。