米FRB、積極的な量的引き締めで緩やかな利上げが可能=カンザスシティー連銀総裁
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理論的にはその通りであり、中長期の金利に直接的に働きかけることが可能な点でも、魅力的な選択肢という面があります。
しかし問題は、量的引き締めの定量的効果が不透明である点です。つまり、保有資産をどの程度減らすと、長期金利がどの程度上昇するかが不確実で、単純に言うとやってみないと分からない訳です。
対照的に利上げの場合は、計量モデルの結果からも、経験則としても、25bpの利上げがイールドカーブをどのように動かし、それが景気や物価にどの程度の時間的ラグを伴ってどの程度効くかはかなり明確です。
だからこそ、先般FRBが公表した量的引き締めの運営方針でも、引き締め効果が不透明である点を認めた上で、金融政策の正常化は主として利上げによって行う考えを明示したわけです。> 「バランスシートにどのように対応するかで金利の道筋は影響を受け、その逆もあり得る」とし、「例えば、バランスシートに積極的に対応すれば、金利の道筋はより緩やかなもので済む可能性がある」と述べた。
この踏み込んだ発言には驚きました。利上げによる短期金利への働きかけだけではなく、中銀の資産圧縮によって長期金利までのイールドカーブ全体を調節する可能性を示した格好です
これは米国版イールドカーブコントロールとも言えるもので、これまでの米国の金融政策から一歩踏み出すものです(日本のYCCとは目指す内容が違いますが)
イールドカーブを全体的にコントロールして結果として利上げを最小限にする、という方法論は理論として非常に進歩的で、とても興味を惹かれます
ニューケインジアン(新古典派左派)の金融政策的なパターナリズムがより強まった、と見る保守派(新古典派右派)からは厳しい反論も予想されます
まさに未曾有の危機下での本気の議論が理論と実践において行われている、ということが伺えます
なお、昨日の株式マーケットは3指数とも急速にリカバリーをしています