[27日 ロイター] - 米アップルが27日発表した2021年10─12月期決算は、売上高が前年同期比11%増の1239億ドルと過去最高となった。半導体不足に直面しながらも、堅調なiPhone販売とサービス事業の契約者増に支えられ、市場予想の1187億ドルを上回った。

アップルの株価は時間外取引で5%以上上昇。今年に入ってからは市場全体と同様に10%の下落となっている。

第1・四半期(12月25日までの四半期)の利益は346億ドル(1株当たり2.10ドル)で、アナリスト予想の310億ドル(1株当たり1.89ドル)を上回った。

アップルは、世界で18億台以上の端末が稼働している規模を生かし、新型コロナウイルス禍で不足する半導体などをサプライヤーから調達することができた。

調査会社IDCでスマートフォン市場を担当しているライアン・リース氏は「アップルはサプライチェーンを誰よりもうまく操り、それが業績に表れている」と述べた。

ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は今四半期(1─3月期)について、売上高の伸びは10─12月期に比べて鈍化すると予想。為替レートの影響と製品の発売時期の違いが主因だという。

同CFOはロイターとのインタビューで、今四半期にはサプライチェーン(供給網)の制約が緩和されるだろうと指摘。「制約のレベルは、他社や他の業界からの半導体需要に大きく依存する。予測するのは難しいので、短期に集中するようにしている」と述べた。

10─12月期は競合機種の投入が少なく、アップルの端末売上高は同四半期前に出荷を開始した「iPhone13」に押し上げられ、前年比9%増の716億ドルと市場予想を大幅に上回った。

調査会社カウンターポイント・リサーチの26日の発表によると、10─12月期の中国スマートフォン市場におけるアップルのシェアは過去最高の23%に達した。中国で6年ぶりにトップの販売台数を記録した。

「アップルTV+(プラス)」、「アップルミュージック」、「アップルフィットネス」などの有料アプリを含むサービス事業も大きく伸びた。同事業の売上高は24%増の195億ドルとなり、アナリスト予想の186億ドルを上回った。同社の提供するサービス全体の有料契約者は7億8500万人で、前年同期の6億2000万人、前四半期の7億4500万人から増加している。

タブレット端末「iPad」の売上高は14%減の72億5000万ドル。アナリスト予想は82億ドルだった。iPadは不足している部品に対する優先順位が低いという業界の予測を裏付ける結果だ。

パソコン「Mac」の売上高は、アナリスト予想の95億ドルに対して25%増の109億ドル。周辺機器の売上高は、アナリスト予想の146億ドルに対して13%増の147億ドルとなった。

ハードの生産が半導体不足に直面する中で、サービス事業が成長していることが投資家には魅力と映っている。アップル株の12カ月先予想株価収益率(PER)は27倍。リフィニティブによると、1年前の35倍からは低下しているが、5年間の平均である20倍を上回っている。

一方、アップルは欧米で反トラスト法(独占禁止法)の圧力に直面しており、サービス収入が削られる新たな規制につながる可能性がある。

投資家にとっての大きな関心は、アップルがメタバース(巨大な仮想現実空間)向けの拡張現実(AR)ヘッドセットのような次の大型製品をいつごろ発売するのか。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は投資家に対し、「われわれはこの分野に大きな可能性を見いだしており、それに基づいて投資を行っている」と述べた。