法定通貨からビットコイン除外を IMF、エルサルバドルに要請
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エルサルバドルもIMFの加盟国です。興味深いのは、この文書はIMFの「理事会」の意見として出されています。すなわち、エルサルバドルを所掌するスペイン理事の了承も得ていることになります。結局、IMF理事国はどこも、エルサルバドルの政策がうまく行くとは思っていないということです。
エルサルバドル大統領にとっては、いったん「法定通貨にします」と言って持たせたビットコインを「やはり法定通貨にできません」と言い出せば猛反発を受け、政治的立場が危うくなるのは必至ですので、聞き入れることはないでしょう。しかし、そんなことはIMF理事会も百も承知だと思います。
財政事情が苦しくなった国が「一か八かのバクチを打つ」ような行為が横行すると、国際的な支援が難しくなります。究極的には各国の納税者の負担で行われる支援が、暗号資産の価格下落による損失にまで実質的に充当され得るとなると、支援スキームの組成自体が各国世論の支持を得にくくなります。IMFは当然、そこまで考えてこの文書を出しているのだと思います。人気取りのひとつがビットコインを法定通貨にすることでした。しかしボラティリティが高すぎる。3カ月ほどで価値が半分になるなんて、国民にとっては幻滅でしかありません。
世界的な通貨安定をめざすIMFとしては、ビットコインを法定通貨にするかぎり、支援できないと言っているようにも聞こえます。エルサルバドルの混乱はつづきます。現状のエルサルバドルではうまく浸透はしていないので、今なら撤回に向けて要請をかけても何とかなると踏んだのだろう。
ブケレ大統領が突っ走っているだけ、という側面はまだあるので、その意味では大統領の判断1つで何とかなる側面はあるにはある。
しかし、甘い。
1.ビットコイン法からビットコインを外すとは、方針転換をさせるときの説明になっていない。火山を利用したビットコインシティ構想など、かなり突っ込んでいる側面がある。これを転換させるには、サンクコストをどうするという部分まで話をする必要がある。
2.中国大陸がマイニング禁止を行って後、カザフスタンなどマイニングの担い手における電力不足、ネット遮断禁止など、マイニングの担い手が不安定化しつつあるなか、エルサルバドルの火山による地熱発電でのマイニングの存在意義は半年前と比べても高まっている。
3.金融包摂の重要性をIMFは理解できていないのではなかろうか。結局国民の7割は銀行口座を持っていないのにGDPの23%の国際送金を占め、現金持ち歩きと国際送金の受け取りに行く必要性も治安の悪さに影響していることの深刻性を理解できていないからこうした話が出る、ということを理解する必要がある。国民の8割は携帯電話を持っている特性がありながら活かせていないなら活かす話が出る。
ではどうするのが良いか。
私ならミャンマー亡命政府に倣ってテザーの法定通貨化への切り替えに持ち込む。
テザー社をUSAとは違う形で国際管理下に置くことはできなくは無い。テザー社は過去に使い込みがある背景もあり、USAによるステーブルコインの法規制は恐らく嫌がっている。ならば途上国支援の名の下にUSAとは異なる国際管理下に置くことは出来なくはない。
テザーならUSドル連動とみせることもできる。USドルに20年かけて慣れたエルサルバドルには、携帯電話で扱えるUSドルに相当するものが金融包摂の観点では大事になる。恐らくそれが出来るのは現状ならテザーが最善。
USDコインなど他のステーブルコインはUSA規制に合わせる必要があり、途上国支援になじまなくなる。CBDCたるデジタル・ドルが発行されても他の国で利用できる形にはならない。
金融包摂等ができる形になるなら、ブケレ大統領も方針転換できる形にできるのではなかろうか。