日本のスタートアップ企業でグローバルで勝てるのはどこか?
コメント
注目のコメント
日本のスタートアップがグローバル市場で勝てる領域は何でしょうか? ディープテック、ゲーム、エンタメ、ヘルスケアなどは日本が強い分野。Coralの投資先でも宇宙ロボットのGITAIや核融合スタートアップの京都フュージョニアリングなど、もともと開発や製造の蓄積の点で日本に優位性がある領域があります。
資金調達環境も変わりつつある今、日本からデカコーンとなるグルーバル企業が出てくる日も来るのではないでしょうか。CoralのJames Rineyが記事を書きました。大企業ではイノベーションが生じづらい!
ベンチャー企業の方がイノベーションを生じさせやすいのだ!
・・は、単なる風説です。
事実は、大企業の方がイノベーションを生じさせやすいです。
あるいはベンチャー企業であっても、政府からの(例えば軍事研究)予算が安定的に投入され続ける事で生じます。
ウォークマン:プロダクト・イノベーション
ファミコン:マーケット・イノベーション
カンバン方式:プロセス・イノベーション
政府資金の投入されていないベンチャー企業発のイノベーションももちろん存在はしますけれども、社会を席巻するイノベーションを生じさせやすいのは、大企業の方だと言う事です。
なぜなら、イノベーションを生じさせるような失敗上等の行動の背景には「余力」が必要だからです。
従って、そもそも「何故、日本の大企業ではイノベーションが生じないのか?」と言う設問が誤っています。
問うべきは「何故、日本の企業からイノベーションが生まれなくなってしまったのか?」です。
前述したように、イノベーションを生じさせるには「余力」が必要です。
ところが、日本では1997年から小さな政府、構造改革、グローバル化競争促進により、むしろ「余力」をどんどん削ってきました。
それに伴い、日本人は貧しくなってきました。
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2020/02/cd10783d4564b13be442741421a648f1.jpg
従って、今後は小さな政府、構造改革、グローバル化競争促進を見直す必要があります。
具体的には、積極財政へと転換し、金融経済を抑制しつつ実体経済の重視の構造に戻し、自由貿易を抑制する事が必要です。
国民が困窮化している中では、イノベーションなどはあまり生じません。「余力」がないからです。
尚、先ほど積極財政に転換すべきと述べましたが、中でも生産性向上を実現できる公共投資は大胆に行うべきでしょう。
例えば最高速度200km/hを安全に走行できる道路が建造されれば、単純計算でその道路を使った生産性は2倍となります。
また生産性に関係なくとも、政府は研究開発(当然文科系も含む)にも大胆に投資すべきです。グローバル市場で成功するためにはグローバル市場のビジネスで実績があるチームで創業するのが重要でその点をすくなくとも投資家の重要な評価点の一つです。そう考えるとスタートアップも大企業もグローバル市場で成功するにはグローバルなチームでマネージメントを構成することが必須で、ダイバーシティは強みを構成する要素です。
このような日本が強い、進んでいるという分野の分析も重要とは思いますが、グローバル市場を狙えるチームをどうやって日本のベンチャーに作っていくかという議論も必要だと思います。なかなか言語の壁がある中で多くの日本企業にとってはグローバルなチームをマネージメントにリクルートし協業していくのは難しいのが現状です。
上記に加え日本発の会社だけでなく、日本人が海外企業でマネージメントを務めたり、海外発の企業が日本のマネージメントを中核にし日本に移ってくるというパターンも増えていくと良いなと思います。もちろん、言語や制度、契約等の超えるべきハードルは高いですが。
極論すると、グローバル市場を目指す企業であれば、本社を日本においても、イスラエル、ヨーロッパの多くのスタートアップのように最初から、例えば会社法人の設立はデラウェアでやり、投資契約等も英語ベースで進めるというオプションも考えるべきかもしれませんね。