[ワシントン 12日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は12日、インフレ抑制を目的とした利上げは先進国・途上国間の経済発展の隔たりを危機的な水準に深化させる恐れがあると述べた。

グローバル開発センター(CGD)主催のイベントで、インフレは普遍的な現象ではないが、米国を中心に多くの国で問題になっていると指摘。米連邦準備理事会(FRB)や他の中央銀行はインフレに対応する方法を知っているが、それは微妙なバランスを必要とする行動であり、その影響が新興国に波及することで「乖離(かいり)という火に油を注ぐことになりかねない」と警鐘を鳴らした。先進国での利上げは新興国の借り入れコストを上昇させ、投資を枯渇させるだめだ。

ゲオルギエワ専務理事は先月のロイターネクスト会議で、新型コロナウイルスのオミクロン変異株出現による影響を反映し、1月の世界経済見通しでは、世界経済の成長率予測をさらに下方修正する可能性があると述べていた。IMFは新型コロナに関する最新の情勢を反映させるため、見通しの公表を1週間延期し1月25日とした。

これに関しゲオルギエワ専務理事は、景気回復は続く可能性が高いものの、インフレ圧力や債務残高の増加など、向かい風も強まっているとの認識を示した。2019年に見られた社会不安が今年も再燃することが予想され、政策立案者にとっての課題となる可能性も指摘した。

ゲオルギエワ専務理事によると、IMFは各国に対し、現在および将来のパンデミック(世界的な大流行)への備えを強化するよう要請している。ワクチン生産を分散し、アフリカなどの輸入依存度を下げることが「非常に重要」だと指摘した。