「ホテルの賞味期限は10年」 インバウンド向けに急増したホテルが直面する“厳しすぎる”現実
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当館の昨年の年平均稼働率は79%でした。
この稼働率でこの地域一番の稼働状況でしたが、これで収支はトントンです。
基本的に80%以上でなければ黒にはなりません。
そもそもインバウンド需要を見込んだホテルは一見様ばかりですから、
新規顧客を常に引き込んで来なければ成り立たないわけで、
今回のコロナ禍のように鎖国、巣篭もりとなると需要など一瞬で消滅です。
当館は場所柄、そもそもインバウンド需要があまりないところで、
すぐ裏に大手メーカーの工場地帯があるので、そちらへの出張者と
この地域への製薬メーカーの営業の方がメイン顧客である為、比較的稼働は安定していました。
ですが、当然すぐ近くに競合ホテルがたくさんあるので、
あぐらをかいているわけにはいきません。
オープンから3年程度と、比較的新しい当館ですが、
さらに質を高めるために月1回の清掃ミーティングと朝食ミーティングは欠かせません。
お客様のご要望を吸い上げる為のアンケートも常に実施して検討している他、
当館だけでなく地域全体を巻き込んでの企画を立ち上げたりと、
出来ること、考えうるあらゆる事をドンドン試している状況です。
結局はホテルビジネスの核はリピーターです、LTVです。
企業の出張者も一般客も「ここに来たらあのホテルだな」と、
来るたびに必ず当館に泊まりたいと思ってもらえるお客様をどれだけ増やせるか、です。
それって、必ずしもホテルの目新しさや設備の充実度ではなく、
「なんとなくここが良い」という店舗の雰囲気だと思います。
私はそこを何より大事にしています。コロナ直前に、東京でどんどん大浴場つきのビジネスホテルができて、毎度新しいところを試して泊まり歩くのを楽しみにしていました。確かに、新しいホテルほど良いのですよね。奇麗だし、新しい工夫がされていたり、内装や設備が今風だし。たまに古いところに泊ると、部屋にニオイがしみついていたりして、ガッカリしました。
私が泊るレベルのところは、都心の雑居ビルを改築した小規模なものが多く、時間が経ったり儲からなくなったりしたら、壊してまた元の雑居ビルにするんだろうな、既存の大ホテルと比べて簡単だな、と思います。ホテルの客室稼働率で見る損益分岐点は60%〜70%弱程度。11月で59.2%なのでまだ厳しさが。インバウンドは引き続き見込めない中、誰に価値を出すかの見直しは急務で進みました。