「日の丸半導体」復権へ、九州8高専に専門課程…政府方針
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半導体分野に限らず、産業を加速させるためには人・カネ・モノといったリソースを集中させる必要があるという観点ではこの流れは喜ばしいです。
ただ、この記事を見る限り、半導体に関する教育の充実には相当な投資が必要だという認識があるか心配です。
昨今例えば下記のようなわかりやすい参考書が存在するため、これらを読み込むことである程度のインプットは可能です。
①B.L.アンダーソン著:半導体デバイスの基礎
②S.M.ジィー著:半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術第2 版
一方、半導体産業に即した実践的な力をつけるためには山程実験をする必要があると考えます。その実験機械を揃えるだけで数億円以上はかかると思いますが、その観点はしっかり持っているのでしょうか?
また、ある程度若いうちからという発想はとても良いと思いますが、社会側にも適切な受け皿を確保する必要があります。(配属はもちろんのこと、新しく入る方々の専門性を正当に評価し、給与に充分に反映すること)
半導体産業だけ見れば少しでも投資が集まるのは良いことですが、本気でやるのでしたらそれ相応の持ち出しが肝要である点は再度ご覚悟いただきたいと思います。日の丸半導体、という言葉はともかく、高専や大学などからの人財育成は、産業競争力の上で極めて重要。
工学部の花形は、戦後直後は造船学科、その後電子工学科(→半導体など)にシフトしていったと思う。そして人材供給があるからこそ研究が進み、世界トップにそれぞれの産業でついている。
ここらへんの経緯は下記の伊丹氏の著書に詳しい(90年代の伊丹研究室のこれらの本は、日本の各種産業が戦後にどういう推移をしてきたのかの分析としてとてもオススメ)。
日本の造船業 世界の王座をいつまで守れるか
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他に半導体が強かったのは、あとは東北大だっただろうか…高専卒のあとに大学編入して大学院に進学される方もいる。研究という観点で、高専だけにとどまらない教育の国内での集約・集中投資を是非してほしい。また色々なしがらみを省くという観点では、半導体の専門大学院を設置するというのもありかもしれない。
これだけの半導体危機になっているという観点では、企業からの奨学金含めた資金なども集まりやすいのでは?そして、しっかりと給与も報いることが重要。そういうグローバル競争を行っている産業なのだから。
なお、Why Japanという点では、台湾・韓国のような地政学リスクがなく(また日本メーカーが弱体化したので競合が少ないという現実論)、素材・装置メーカー含めてバリューチェーンが存在しているといった観点で、消去法的に有力候補になる。競争なのだから有利な条件は活かさない手はない。九州はもともとシリコンアイランドと言われていたくらいでサプライチェーンが出来上がっている※ので九州で専門人材を育てるのは良い案だと思います。
※ちょっと古いですが下の資料がわかりやすいです
https://www.kyushu.meti.go.jp/report/170824/sik_map_ja.pdf
一方で、半導体のどの分野(半導体のどの種類、どの工程)を取りに行くのか、近い将来に絶対に来るシリコンサイクルのダウントレンドを加味した上で長期的に莫大な資金を投下する覚悟が政府にあるか(=過去の失敗を繰り返さないか)は注目していきたい。
他の方も指摘しているとおり「日の丸XXX」というネーミングにはもはや損させフラグしか感じないけど、とはいえ他の良いネーミングも思いつかない。変な名前を付けるのはもうやめたほうかもしれない。