【電力業界騒然】洋上風力発電で起きた財閥の価格破壊、暴落するレノバ株【原発45基分PJ】
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今回の公募(オークション)の勝者は、オークションのオーナーであり権益のセルサイドの経産省でしょう。セルサイドの経産省が巧みすぎて、オークションへの参加者は誰も得させてくれない案件だったのかもしれません。
* なお、経産省はFIT賦課金を負担する需要家(国民)の利益をリプレゼントしています。経産省の勝利による最終的な便益者は国民です。
本件をM&Aのオークションに例えると、開示された情報が極めて限定的で部分的なDDしかバイヤーに行わせなかったにも関わらず、オークションが活況になり高い値札(=低いFIT価格)にてたくさん入札されたようなものです。
ちなみに、今回の公募がM&Aのオークション対比で相違するのは、日本は現状セントラル方式でないため、各地の先行事業者は長期間かつ複数地点の風況データを得ており、相当数のボーリング調査を自己負担で実施し海底の状況を理解しており、また地域のステークホルダーとの権利調整に伴う負担を正確に理解できていた、すなわち先行事業者だけがフルスコープのDDを実施できていたということです。興味深いのは、フルスコープDDを行えた事業者はどの海域でもかなり低い入札価格(=高いFIT価格)を提示していたように見えるという点です。
この点、先行事業者はフルスコープDDに基づき他の入札者やもっと言うとセルサイドより多くの情報を持った上で分析・入札した上でオークションに負けたのですから、ある意味納得感のある負け方でしょう(入札価格より低いFITだったら資本コストを加味すると採算割れなはず)。
勝った三菱商事・中部電力連合は、経産省との間で、グローバルエネルギー政策や国内電力政策について規制や支援を受ける民間事業者と監督官庁とという関係にあり、連続的な取引関係を持つ関係者のため、今後の開発(DD)を経た上で仮に「やべ、コストと関係者の時間調整に手間がかかりすぎてあまり儲からない案件かも・・・」になってもでも途中で投げ出すことは実質的にできません。
これが仮に外資系エネルギー企業が入札に勝った場合、経産省とは一度切りゲームの関係であるため、経産省は当該企業の首根っこを掴むことはできず、今後20+年の事業化及び運転期間中「ちゃんと事業化してくれるかな?」とハラハラするところだったと思います。ここに書かれた「原発45基分」というのは、政府が「2040年までに洋上風力発電で3000~4500万キロワットの発電を目指す」という目標のことですよね。
この目標は、原発1基を100万キロワットとして計算すると、「洋上風力で原発30~45基分発電する」と言い換えることができます。
ちなみに今回の3プロジェクトだけだと原発1.5基分ぐらいです。
今回、三菱商事が落札した価格(11.99円/kw~)というのは、既に原発の発電コスト並みです。
原発の新設コストはテロや災害対策で試算し直す度に大幅に上がっていることを加味すると、今回の落札価格は(送電網の整備とか、色んな課題はあるにしても)「原発以下」とも言えるでしょう。
今回三菱商事が落札したプロジェクトには、再エネ事業会社のレノバが東北電力、JR東日本、コスモ石油と組んで参加していましたが、三菱商事の衝撃的な入札価格で決着しました。
レノバ株は大きく下げています。
今までは洋上風力の発電コストは「30円/kw」と言われてましたから、「にわかに信じられない」という意味でも、私的には今月最大のニュースでした。