(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、アジアのスタートアップ向け融資事業を拡大する。シンガポールの合弁会社を通じて、早ければ2022年1月にも3億ドル(約340億円)規模の2号ファンドを組成し、フィンテック企業などの旺盛な資金ニーズを取り込む。亀澤宏規社長がインタビューで明らかにした。

来年1-3月にも設定する2号ファンドは、三菱UFJ銀行がイスラエルの金融サービス企業と昨年8月に折半出資で設立した「マーズ・グロース・キャピタル」が運営する。審査にはAI(人工知能)を活用し、従来の銀行では難しかったスタートアップのデット(借入)での資金ニーズに応える。

亀澤氏は、エクイティー(株式)による資金調達は経営体制にも影響するとの理由から「高い利率でもいいからデットで借りたいとのニーズはかなりある」と説明。2号ファンドでは新規株式公開(IPO)が視野に入る「レイト」ステージの企業などに資金を供給していきたい考えを示した。

スタートアップ向けの資金供給は、ベンチャーキャピタル(VC)やプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドによるエクイティー投資が中心だが、企業側には経営権などに直接の影響を与えにくいデットによる調達ニーズもある。マーズ・グロースではITやAIも駆使してスタートアップの返済能力を見定め、融資を実行する。

1号ファンドでは起業から間もない「アーリー」から単月黒字化が可能な「ミドル」ステージを対象に融資を実行している。21年9月には同ファンドの融資枠を8000万ドルから2億ドルに拡大した。

レイトステージを対象とした2号ファンドでは、提携関係にある米モルガン・スタンレーと組んでIPO支援をすることも視野に入れる。

(5段落目に内容を追加します。更新前の記事は2段落目の合弁会社の設立時期と5段落目の一部表記を訂正済みです)

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