2021/12/16

【解説】総合商社には、コングロマリットのメリットがある

NewsPicks編集部
今、東芝や米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米ジョンソン・エンド・ジョンソンなど世界的なコングロマリットが会社を分割する動きが相次いでいる。
そのコングロマリット企業の代表的な存在の一つが、総合商社でもある。
「ラーメンから飛行機まで」と言われる事業の広さから、本当の実力が見えにくく、長らく株式市場で株価がディスカウントされてきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大などから、世界中のサプライチェーンの混乱、資源高となる中、商社は絶好調の様相なのだ。
総合商社は、メーカーのように、分割すべきなのだろうか。コングロマリットであり続けるべきなのか。
『総合商社──その「強さ」と、日本企業の「次」を探る 』(祥伝社/2017年)の著者で、専修大学経済学部教授の田中隆之氏が解説する。
INDEX
  • コロナ禍で際立った総合商社の強み
  • カナメは今もトレード
  • 投資ファンドと何が違うのか
  • 単なるコングロマリットでもない
  • 世界に類例を見ないビジネスモデル
  • 総合商社の行方

コロナ禍で際立った総合商社の強み

──事業を多角的に展開する総合商社は、「コングロマリット・ディスカウント」の代表格ともいえる存在ですね。
総合商社は、トレード(商品取引)を中心に事業運営・事業投資から収益を得ており、それらが多角化したセグメント(産業部門)ごとに、有機的に結びついて作用しているという、大変特異な構造をしています。
日本以外に類例を見ない業態であることもあり、これまで総合商社はとりわけ海外の投資家への説明に腐心してきました。