2021/12/13

新時代の広告プロ集団が挑む。顧客に寄り添うマス広告

NewsPicks / Brand Design  編集者
 企業がビジネスをグロースさせるタイミングで、広告、特にマス広告が果たす役割は計り知れない。だが、マス広告を初めて検討するクライアントにとって、マス広告は複雑で分かりにくい点が数多く存在する。
 例えばテレビCMの放送料はいくらかかるのか? どれくらいの期間、どれくらいの量のCMを流すと効果的なのか? 専門家に相談したいことは枚挙にいとまがないだろう。
 一般的にあまり知られていないマス広告の仕組みに一石を投じるサービスを行っているのが、電通ランウェイの「ウリアゲガンバ」だ。
 メディアを起点とした全領域でソリューションを提供している同社の岡本智明木部亮平氏に、マス広告を行う上で重要なポイントや、ウリアゲガンバのサービス内容と業界での役割などを聞いた。

今押さえておくべきマス広告の重要なポイント

──大衆の目に触れやすいマス広告の影響力の強さは、身に染みていますが、いざ検討しようとすると、どうしていいのか分からずに二の足を踏む企業は多いと思います。
木部 そうですね。テレビCMの場合ですと、料金やGRP(延べ視聴率)などの基本の指標ばかりを気にされるクライアントが多い印象です。
 もちろんこれらは最重要の指標ですが、テレビCMの料金といってもさまざまな買い方があるので、一概に料金だけで比較することはできません。
 また、それ以前にクライアントのサービス、商品の置かれている状況、競合企業の出稿状況などをしっかりと分析し、そのデータをもとにメディア戦略を立てること、かつその戦略がクライアントの事業目標に沿っていることが重要です。
 さらに私たちコンサルタントの役割として、クライアントの広告投資リスクをできる限り減らすために、精緻なシミュレーションを行うことが重要であると考えています。
 そして当たり前ですが、実施したマス広告の効果がどうだったのか、どのように計測するのかを出稿前にきちんと決めて、しっかりレビューすることが大切だと考えています。
──リスクヘッジなどもしっかり対応してもらえるのはとても心強いですね。テレビCMの戦略をどのように立てていくのか、具体的に教えてもらえますか?
木部 まず、近年テレビCMを初めて実施した企業の多くは、デジタル広告に精通していると思います。デジタル広告での獲得が頭打ちになり、リーチを広げるため≒ビジネスを拡大するためにテレビCMを検討する企業がほとんどではないでしょうか。
 テレビCMもデジタル広告と同じようにテストを重ねて、勝ちパターンを見つけることが投資リスクの軽減、費用対効果向上につながります。
 初めてテレビCMを実施する場合、大きく4つのステップに分けてテストマーケティングを行います。
 STEP1では、デジタル広告で複数の原稿で運用を行い、効果の高い表現を抽出します。
 STEP2では、デジタル広告の結果をもとにした地上波用のCM素材を安価に制作、大都市と比べると安価にテレビCMを出稿できるローカルエリアで放送を行います。
 STEP3で地上波大都市圏、STEP4で全国とエリアを拡大していくことになりますが、そのテストマーケティングを行う上でも検討すべきポイントはたくさんあります。
──どんなポイントがあるのですか?
木部 例えば、テストマーケティングを行うエリアの選定と投下量です。適切なエリアは商品・サービスの置かれている状況によって変わります。
 適正な投下量については、最低限の認知を得るための量のCMを流さないと、そのメッセージが効いたのかテストすることができません。
 必要GRPは、その商品やサービスの認知率などにより変動します。その必要GRPおよびクライアント予算も鑑みてエリアを選定します。

膨大なマーケティングデータと業界歴

──マス広告を成功に導くには、効果的なテストマーケティングや、結果をもとに解析を行う膨大なマーケティングデータとメディアプランニングから戦略を考えるコンサルタントのスキルが必要になるのですね。
木部 メディア戦略を立てるにあたり、精度の高いマーケティングデータが必要です。戦略のベースとなるデータの精度が低ければ、その戦略は机上の空論となります。それは、クライアントの広告投資リスクとなります。
 私たちは電通グループが誇る膨大なマーケティングデータをベースとしたさまざまな分析ツールを使いこなし、データをベースに戦略を提案します。
 このデータが他社と比べて圧倒的なアドバンテージがある。これはテクノロジーの部分も同様です。最先端の分析ツール、ソリューションにより、他社よりも精緻な予測、計測ができるところが強みだと思います。
岡本 ただし、膨大なマーケティングデータや優秀な分析ツールがあっても、そのデータをベースにどう戦略を作りあげるのかが重要であり、コンサルタントの力量次第となります。
 これは弊社だけではなく、電通グループ全体に言えることなのですが、さまざまな規模、業種のクライアントを担当してきた経験豊富な人材がそろっているのも強みです。
 2000年ごろから「メディアプランニング」の概念がより重要視されるようになり、電通の中にある営業局がいち早くメディアプランニングに特化した提案を始めました。
 メディアの知識を蓄積した広告業界歴15年以上のベテランが、電通ランウェイには数多く在籍しています。
──電通ランウェイには、膨大なマーケティングデータとそれを扱える経験豊富な人材がそろっていると。
木部 付け加えると、コンサルタントが、メディアを中心にマルチタスクでクライアントに向き合っていることも弊社の特徴です。
 コンサルタントが、営業、メディアプランニング、メディアバイイング、時にはテレビCM制作やPR、イベントプランニングなど、クリエイティブ領域までも一気通貫で対応します。
 クライアントには、複数人でチームを組んで対応しますが、「この人は営業専門」、「この人はプランニング専門」と分業することはほとんどありません。
 コンサルタントがマルチタスクで対応することにより、クライアントに対して、迅速に小回り良く対応できますし、顧客ビジネスの理解を深めやすいので、クライアントに寄り添ったサポートができるのではないかと自負しています。
──とても頼もしい半面、もしかすると、代理店にお願いすると高くつくのではないかと尻込みする方も多いのではないでしょうか?
岡本 確かに、“広告代理店に依頼すると料金が高い”という印象をお持ちの方は少なくないと思います。そもそも代理店に気軽に依頼してもいいのかと思う方や、中小企業は相手にしてくれないという先入観を持っている方もいらっしゃると思います。
 そういったイメージにとらわれずに、手軽に我々にお声がけしていただけるよう「ウリアゲガンバ」というサービスを立ち上げたという意図もあります。
 まずはお気軽にご相談いただけるとうれしいです。
木部 新規のクライアントの中には、「(低額の予算でも)対応していただけるのですね」とおっしゃる方もいます。今後もクライアントにしっかりと寄り添って、安心感を持っていただくことを最優先に、クライアントのビジネスに広告で貢献したいと考えています。
岡本 木部がお話ししたように、信頼関係を築いた上で「君の言うことだから信じて任せます」とおしゃっていただくと、とても嬉しいですね。
 また、「これは電通グループでしか出せないアイデアだよね」と喜んでいただいた時は、弊社が持つソリューションを最大限活用したご提案ができた証拠だと手応えを感じます。

ウリアゲガンバがマス広告にもたらすメリット

──電通ランウェイは2021年4月に商号変更を行っていて、前身となる電通メディアランウェイは2019年4月1日に設立された若い会社です。そもそもなぜ、このタイミングでウリアゲガンバのサービスを始めたのでしょうか?
岡本 ウリアゲガンバの名前の通り、「広告の力でクライアントの売上拡大に貢献したい」という広告代理店として当たり前のことを、改めてワンストップかつオンラインでスピーディーにサービスを提供したいと思ったことが一つの理由です。
 また、電通グループに限らず総合広告代理店は人づての紹介など、属人的な営業努力から新規のクライアントを獲得してきたケースが多いと思います。
 ただし今後は属人的な営業だけでは、新規のクライアントとの接点が減っていくだろうという危機感を持っており、それがコロナ禍により加速したこともあって、このタイミングでサービスを始めました。
──新しいクライアントに満足してもらうために、「ウリアゲガンバ」ではどのようなサービスを行っているのか教えてください。
木部 「ウリアゲガンバ」には、Webサイト上で無料提供するコンテンツと、お問い合わせをいただいたお客様に提供するサービスがあります。
 前者は、初めてマス広告を検討する際に参考になるマーケティングコラムや広告用語辞典、テレビ番組や雑誌など媒体ごとの特長や視聴者属性をまとめた媒体資料、広告の基本を知ることができる「広告の教科書」など、無料でダウンロードいただけるコンテンツを用意しています。
 後者は「はじめての安心テレビCMパック」など、具体的なソリューションです。
──“広告枠のご紹介”は出稿を検討する際に非常に便利だと思いました。
木部 ほかにも5クリックで完了する“テレビCM出稿シミュレーター”も用意しています。
 エリア、予算、放送希望月、面の取り方を選んでいただくと、すぐに結果が表示されます。ただし、診断結果はあくまでも目安ですので、詳細を知りたい方は、お問い合わせいただく形になります。
──それが、クライアントが提供できる情報になるのですね。
木部 はい、具体的なソリューションとして、「①はじめての安心テレビCMパック」のほかに、「②広告活動診断」「③ウリアゲ拡大並走サービス」を掲載しています。
 CMの仕組みを基本から知りたいという方は①、現在の広告活動を客観的に診断してほしい方は②、そもそも何から始めていいのか分からない、人員不足なので実務ベースで協力してほしいという方は③というように、多くのクライアントが抱える悩みを解決できるように考えたサービスです。
 とはいえ、クライアントの悩みは十人十色です。この3つのサービスだけですべてフォローできるとは考えていません。お問い合わせをいただいた後、弊社のコンサルタントがクライアントに合ったサポートをご提案していきます。
──分かりやすい窓口があると、新規のクライアントも問い合わせしやすいと思います。
岡本 ウリアゲガンバは、誰でも気軽に問い合わせいただけることも強みなので、まずはご相談いただけるとうれしいです。
 関東近郊に限らず、北海道から沖縄まで、日本全国の企業のお手伝いができるようになりたいですね。
 そしてゆくゆくは、ウリアゲガンバを起点に、他の広告代理店とも協業できるスキームを構築してサポートできるようなネットワークを作っていきたいと考え、準備を進めています。
ウリアゲガンバ運営会社:株式会社電通ランウェイ
社会全体を豊かにすることをミッションに掲げる広告コミュニケーションカンパニー。モノ・サービスの価値を世の中に届ける役割を、マルチタスク能力を身に付けた“オンリーワン人財”が担います。我々自身の領域を限定せず変化し続けることで、クライアントと消費者の皆様が社会から受ける恩恵を最大化することに貢献します。