岸田首相 石油の国家備蓄の一部放出決定を発表 米との協調で
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米国の要請を受けて原油価格の安定のため協調介入するわけですね。為替と同じで、単独で介入するより複数国が協調介入する方が効果はありそうですが、いかんせん限度のある話なので価格を下げる効果は限定的であるように思います。既にこうした動きは市場に伝わっていて、価格に織り込み済みでもあるようですし。
原油価格の上昇はガソリンのみならずいろんな物価、ひいては日本のGDPと国力に影響します。自給率が100%近いコメだって、石油を使って作られているようなものですから。アメリカがシェールオイルを増産すればOPEC+もシェアを奪われないよう増産して価格を下げるでしょうが、バイデン政権がそれを許さない限り、産油国は安心して現行の枠組みが守れます。
石油備蓄法が定める目的とは異なる放出ですが、過剰に備蓄した分があるなら協調に参加すれば良いとは思います。それはそれとして、原油を輸入に頼る日本の脆弱性をどうするか、原発政策を含め、エネルギー問題を改めて考えて置く必要がありそうに思います。協調為替介入と同様の手法で原油高に挑むやに見える日米連合ではあるが(その他の国の石油備蓄は無視してよいくらい小さい)、事の本質的はこの数年短期で急激に脱炭素に突き進む先進国と産油諸国の利害対立であり、その和解を見ない限りごく限定的なアナウンス効果に終わるだろうし、コロナよりも激甚なインフレ効果を与え兼ねず、事実それは始まりつつある。衰退合意による永久デフレの日本だけが呑気にその恐怖を実感していない。
COP26では中国インド対先進国という対立軸が鮮明になったが、それよりもこちらの対立のほうが世界人類にダイレクトにインパクトを与える喫緊の課題だろう。産油国の立場に立てば、先進国が彼らと事前の十分なコミュニケーションなくこれだけ極端かつ短期にEVはじめ脱炭素に向けば当然に増産投資などするわけはなく、マーケットが原油高に向かいこそすれ逆は無いのが当たり前である。
唯一の解決策は、米国ないしはOECDあたりと産油諸国とが長期ビジョンを策定・合意して、彼らが取り組み始めている太陽光ら再エネ産業への石油産業からのシフトを国際社会が援助しつつその間原油マーケットの動きをマイルドにするような本質的な国際協調しかないだろう。