パウエル氏を次期FRB議長に再指名、ブレイナード氏は副議長に
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パウエル議長の再任であれば穏当な結果だと思いますし、政権が変わっても前任者の指名した議長が再任される「良き伝統」が復活したことはシンプルに評価できます。
もっとも、この間の資産売買問題も含めてパウエル氏の対政権での立場は弱まっている可能性があるほか、政権側も民主党内のパウエル氏への批判を考慮せざるを得ない面があったはずであり、だからこそ、ブレイナード氏と天秤にかける対応をとったことが想像されます。
その意味では、今後の金融政策運営に対する政権側の影響力が注目され、中でも、市場のインフレ懸念に対するハト派バイアスの度合いが焦点となります。
一方、ブレイナード氏をクラリダ氏の後任に据えた点は、興味深く思います。
第一に、これまでこのポストは、パウエル氏がprofessional economistのバックグラウンドを持たない点をサポートするブレインとしての意味を持っていた訳ですが、ブレイナード氏の任命によってそれを引き継ぐのか、それとも現ニューヨーク連銀総裁が再びこの役割を担うのかが不透明になりました。
第二に、ブレイナード氏が予て重視していた気候変動対応やデジタル通貨は、主としてもう一つの副議長ポスト(銀行監督担当、これまでクオールズ氏が担当)の守備範囲です。このため、もしもブレイナード氏がこちらに指名された場合にこれらの分野での政策形成への影響が想定されましたが、今回は未定のまま残されました。
この点では政権側の次の一手が引続き注目されます。パウエル議長は、コロナショックで迅速な流動性供給で金融危機を完璧に防止した。まさに「火事の真っ最中に、放水する水の量を気にしない」戦略で、大量の水をぶちまけた。大金融緩和であり、それは大成功だった。しかし、2期目は水浸しになった現場の回収の責任を負うことになる。これは火事を止める仕事に比べると、地味な仕事だ。しかし、地味でも重要な任務となる。だからこそ、パウエル議長が一番ふさわしい。