2021/11/29

㈱ポケモン式ジョブローテーションによって得られる「変化への対応力」とは

NewsPicks Brand Design editor
ゲーム、アニメ、玩具などの商品を展開し、世界的な人気を誇る「ポケットモンスター」。

5周年を迎え、今もなお世界で数多くのユーザーがプレイする驚異的アプリ「Pokémon GO」、世界43カ国で配給され、4億3000万ドル以上の興行収入を記録したハリウッド映画『名探偵ピカチュウ』、そして2021年にはテンセントゲームズとともに「Pokémon UNITE」をローンチした。

1996年の誕生から、今なおポケモンの世界は魅力を増し続けている。そのプロデュースを担っているのが、株式会社ポケモンだ。

意外に思えるが、同社にはエンターテインメント業界出身者ばかりではなく、コンサルタントやメーカー、官公庁など様々な出自のメンバーが集まっている。

経験年数にかかわらず挑戦を推奨していく社風も特徴的で、まるでポケモンの世界観の如く、多様な魅力を持った社員たちのチャレンジ精神が発揮されているのだ。

本記事では、新卒入社から12年で役員となり宣伝企画やカード事業を担当する大洞翔一氏と、経済産業省から転職した今村啓太氏の2人のキャリアから、株式会社ポケモンで働くことの魅力を紐解いていく。
大洞 弊社は部署数の多さが特徴で、約300人の社員に対して30ほどの部署があるんです。変化に強い集団であり続けることの意識を高く持って、部署の構成も、所属する人も、担当役員もどんどん変わっていく。
 例えば新卒で入社する人の多くは、30歳までに3部署を経験することが社内の共通認識になっています。
 私も新卒で入った宣伝企画部を始め、ライセンス企画部、アジア事業推進室などで経験を積み、現在は役員として宣伝企画部とカード事業統括部を担当しています。
 社名の通り、我々はポケモンのことしか扱いません。ポケモンのプロデュースを徹底的に掘り下げる会社です。複数の部署を経験し、多角的な目線や思考を鍛え、沢山の武器を手に入れる必要があります。

ジョブローテーションで得た経験がアイディアを生む

 私自身も、ジョブローテーションの経験が活かせたと思う事例がいくつかあります。
 例えば、ライセンス企画部では「ポケモン集めてもらおうキャンペーン」と題した企画を実施しました。お菓子や食品などの対象商品に入っているシールを集めて指定の場所に行くと、ゲーム内で一緒に旅するポケモンがもらえるという内容です。
 実は、その時まではビデオゲームとライセンス商品は別の領域という空気が強かったんです。
 しかし、このキャンペーンを通して協力いただいたライセンシー様の商品にもプラスの実績を出しながら、取り扱い店舗への送客、各商品売場でのビデオゲーム露出と、各社がWin-Winの仕組みを作ることができたと感じています。
 ちなみにこの企画は名前や仕組みを変えて、今でも引き継がれています。
 出来上がった仕組みや流れを見れば、簡単なことのように思えるかも知れませんが、この企画はライセンス企画部の前にゲームの宣伝業務を経験していたからこそ実現できたものだったと思います。
今も引き継がれている企画:幻のポケモン ゲットチャレンジ(※現在は終了)。
 個人的には、ポケモンの原点であり、最重要プロダクトであるビデオゲームの認知向上やプレイ機会の増加に直結するために、全社がそれぞれの立場で出来ることを考えるべきだと思っていました。
 事業分野にこだわらず越境して、もっと仕掛けていった方が将来にわたって効果を発揮できる。その気持ちも、企画を立てる上での原動力になりましたね。

世界中で大反響を得た「GOTCHA!」

 2020年9月には、ポケモンのプロモーション企画であるスペシャルミュージックビデオ「GOTCHA!」を制作しました。
 川村元気さん、松本理恵監督をはじめとした素晴らしい方々に関わっていただいたおかげで、過去に一度でもプレイ経験がある人たちの熱い記憶を思い起こさせるような作品になりました。
動画公開後すぐにリリースされたビデオゲームとの繋がりを作れたことで、プロモーション効果も高かったと感じています。
 ポケモン公式Youtubeチャンネルの中で最も多く再生されていたり、公開当時はアメリカの大統領選挙のさなかにも関わらず、Twitterのグローバルトレンドに楽曲を制作していただいた「BUMP OF CHICKEN」が入ったりと、アーティストの魅力も同時に広く伝えることができて、関わった社員も一段とやりがいを感じられたプロジェクトになったと思います。

新しいことをやるからこそ、長期的な観点を大切にする

 これまで様々な施策に取り組んできましたが、今振り返ってみると「ポケモンを自分なりにアップデートしたい」という思いがベースになっています。新しい領域に風穴を開けることで、ポケモンの更なる拡がりを促すイメージです。
「なぜそれをポケモンでやるのか?」、「なぜ今やるべきなのか?」について考え抜き、ポケモンに新しい価値が付加されていくような企画を高いクオリティで実施していくことが私たちの使命。
その価値を生み出すためには、様々な部署で経験できることが寄与していると思います。

株式会社ポケモンで活躍できる人材とは

 先程お話しした自分の経験を鑑みていくと、やはりポケモンを一緒にアップデートしてくれる人と働きたいですよね。ポケモンブランドを進化させていくためには、これまでの枠組みの外で、経験していない仕事にもどんどんチャレンジしていく必要があります。
 まずはそういう変化の多い環境を「面白い!」と思って飛び込んできてくれる人、そして答えのない課題に挑んだり、やったことのない仕事に対してきちんと仕切って仕上げられる人。しっかり準備していたのに起きる、色んなトラブルを乗り越える力も大事(笑)
 株式会社ポケモンには、多様なバックグラウンドと魅力を併せ持つ人材が集まっています。そういう人たちと一緒に新しいことに挑戦したい、長期的な目線で新たな価値を作り出していきたい、と興味を持った方は迷わず応募してみてほしいですね。
今村 私は以前、経済産業省に勤めていました。
 株式会社ポケモンという存在を知ったのは、実はNewsPicksの記事なんです。
 その記事ではポケモンとの向き合い方や独特の仕事観が取り上げられていて、ひとつのブランドだけで勝負をしていることに潔さを感じましたし、ポケモンを永続的に輝かせるための本気度や熱量が伝わってきて、ぜひ働いてみたいなと思いました。
 ワクワクした気持ちを抱えながら検討を重ねる中で、3つの要素が自分にとっての魅力だと思いました。
 1つ目は、株式会社ポケモンが非上場の会社だったこと。上場企業の場合はどうしても四半期で結果を求められる一方、非上場であれば長い目でいろんな事業に取り組めるはずだと。これは、私自身が経済産業省で様々な企業を見る中で感じてきた印象です。
 2つ目は、業績が好調に推移しており、新規プロジェクトに投資するキャッシュ面の余力があったこと。気概だけでなく体力面も大事です。
 3つ目はひとりのユーザーとしてポケモンで楽しく遊んだ原体験を持っていたこと。転職を意識した時点で「その企業が扱っている商品やサービスが好きか?」という観点は大事にしたかった。
 株式会社ポケモンであれば、自分が世界一だと思う商品を扱いながら、楽しんで長期的なチャレンジができるはず。そんな会社はなかなか無いと思ったのが、転職を決意した理由です。

ポケモンと社会の新たな結節点を作る

 入社してから3年ほど経つ中で、本当に様々な仕事を経験してきました。「Pokémon GO」のイベント、ポケモンのマンホール「ポケふた」プロジェクト、航空業界や観光業界にも関連する「そらとぶピカチュウプロジェクト」など。
コロナ禍で大きな影響を受けている航空業界や観光業界の力になりたい。そんな想いから生まれたのが「そらとぶピカチュウプロジェクト」だ。
 現在は、すべてのコンテンツの原点であるビデオゲームソフト『ポケットモンスター』シリーズのプロデュース業務を担当しています。入社から数えて6つ目の部署になりますが、どこでも楽しく仕事に取り組んでいます。
 そして数多くの業務を通してポケモンを見つめることができ、私も「この仕事は、ポケモンのためになっているか?」という視点を大切に、社会との新たな結節点を作るプロジェクトに携われていると思います。

なぜ、株式会社ポケモンは「マンホール」を作るのか

 特に印象的だったのは、入社後に初めて受け持ったポケモンのマンホール「ポケふた」プロジェクトです。
 観光振興等を目的に、全国の街に1枚しかないオリジナルデザインのマンホールを自治体に寄贈しているのですが、2019年に開始し、今年8月の時点で累計200枚を突破しました。
 マンホールは、1回設置されたら30〜40年はその場所に残る耐久性の高い公共物です。それがポケモンのキャラクターを使ったデザインであることで、まさに長期間にわたってポケモンと社会の結節点を作れたわけです。
 ただ、実際に企画を立ち上げようとしてからわかることもありました。鋳造メーカーさんとの最初の打ち合わせで、個別デザインのマンホールを1枚だけ作りたいと話した際は、「ありえない!」というリアクションをいただきました(笑)。
福島県浪江町に設置された「ポケふた」を見つけた子どもたち。マンホールに描かれているポケモンは「ラッキー」。
 マンホールは鉄の鋳造なので、大量生産してROIが成り立つ世界。せっかくミリ単位でデザインを調整して丁寧に型を用意するのに、たった1枚しか作らないのは衝撃的だったようです。
 他にも様々な壁がありつつ、結果的に少しずつ「ポケふた」を増やしていくことができました。
 正直なところを申しますと、「ポケふた」はお金の面では一切儲からないプロジェクト。それでもやろうと思えたのは、やはりポケモンのプレゼンスを長期的に高めるために必要だという自信があったからです。
 私にとっても、30年後に還暦を迎え、自分の担当した仕事がそこに残っているかもしれないと考えると、ものすごく夢のある仕事ですし、やりがいも責任の大きさも感じました。
 入社前は、まさか自分がマンホールを作るとは思いませんでしたし、マンホールが作りたくて株式会社ポケモンに入る人間もいないと思います(笑)。ただ、新しいチャレンジをしたくて飛び込んでいった私としては、とても心に残っている仕事ですね。

会社全体が「ポケモンのためになること」を考え抜いている 

 弊社は現場のメンバーから、経営トップまで、全員が「ポケモンのためになることは何か?」を考え抜いています。目先の利益を追うのではなく、長い目で見た上で様々なプロジェクトを動かしています。
 私が「ポケふた」のプロジェクトを進めると役員の会議で発表した時も、何の躊躇もなく「やってみましょう」と返答をもらいました。
 役員も様々な部署をローテーションしてきた経験を持っているからこそ即決したのであり、こういうところが株式会社ポケモンらしさ、強さなのだろうと思います。
 そして年齢が若かろうが、社歴が浅かろうが、どんどん社員をチャレンジの舞台に立たせてくれる。
 新しい挑戦には苦難がつきものですが、それをしっかり受け止め、課題をクリアするために考え抜ける人、行動する人が活躍しています。
 株式会社ポケモンの活動は、海外のグループ会社と連携しながら、今後も益々グローバルに拡大していくフェーズです。自分が関わった作品、商品、サービスが世界中でリリースされ、沢山の感動を生み出していくことになりますので、やりがいも苦難もまさに「地球規模」になります。
 そういうことにワクワクできる人にとって、最適な環境がここにあると思います。