(ブルームバーグ): SBIホールディングスは12日、新生銀行の買収防衛策の発動が可決された場合、同行への株式公開買い付け(TOB)を撤回し、全保有株式の売却も検討すると表明した。SBIは、買収によるシナジー効果が新生銀の企業価値向上につながるとし、改めてTOBの正当性を強調した。

預金保険機構からの質問に対して回答する形で声明を発表した。買収防衛策は、SBIによるTOBを「経営者の保身目的で否定することを企図したもの」と指摘した。

25日の新生銀の臨時株主総会で買収防衛策が発動された場合には、TOBを撤回し、現在保有している新生銀株については完全売却を含む選択肢を検討するとした。

SBIは9月、新生銀に対し1株当たり2000円でTOBを行い、出資比率を48%まで引き上げると発表。新生銀は反対を表明し、SBI以外の株主に新株予約権を割り当てる買収防衛策の導入を決めたことで、銀行業界では異例となる敵対的TOBに発展した。 

預保は今月5日、ウェブサイト上で書面を公開し、買収によって得られるシナジー効果や両社の企業価値向上などについて質問していた。ブルームバーグの集計によると、預保と子会社の整理回収機構は合わせて新生銀の株式を2割保有している。

SBIは12日の声明で、買収のシナジー効果で新生銀の業績を押し上げることができるとの見通しも示した。新生銀の計画では2025年3月期の純利益予想は548億円だが、SBIグループに入れば710億円まで増えるとの試算だ。

米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)やグラスルイスによる買収防衛策への賛成推奨には「十分な根拠がない」と主張した。

一方、新生銀も同日、預保への回答を公表。SBIから説得力のある説明が得られない場合は「他の株主候補との資本・業務提携などを追求することが、株式価値の向上に資する」との見解を示した。

公開買い付け価格は、同行のアドバイザーが分析したところ、1株当たり株式価値の評価レンジの中央値が2400円台だったことも併せて公表し、SBIの提示価格との乖離(かいり)を指摘した。

 

(新生銀の声明の内容を追加して記事を更新します)

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