2021/11/19

【なぜ】すぐに役立つ「学び」がキャリア形成につながる理由

NewsPicks Brand Design chief editor
終身雇用を前提とした働き方は薄れ、転職、独立によるキャリアアップも当たり前の時代に。コロナ禍により、日本にいながらにして海外企業で働く越境ワーカーも登場するなど、働き方は日々多様化している。
しかし、この自由な時代にあって、その環境を有効活用できる人と、そうでない人がいる。「その違いは、学び続ける自律性にある」と話すのは、社会人向けのオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の日本事業責任者(※)飯田智紀氏だ。どうすれば、自分らしく、自由に働くことができるのか。飯田氏とともに考える。
※2015年よりベネッセコーポレーションが日本における独占的事業パートナーとして提携を開始

リモートで活躍できる人と、そうでない人の違いとは

副業、兼業、フリーランス、ジョブ型採用。働き方を取り巻く環境は、2018年の働き方改革以降、じわじわと、しかし確実に変化を続けている。
自ら学び、行動できる「自律型人材」の重要性が叫ばれはじめたのも、ちょうど同じ頃だ。世界最大級のオンライン学習プラットフォーム「Udemy」の日本事業責任者・飯田智紀氏は、次のように話す。
「『Udemy』が日本でサービスをスタートさせた2015年頃は、リモートワークや、それによる働き方の自由化に向けて取り組んでいるのはごく一部の企業でした。しかし、変化のスピードはコロナ禍の影響で間違いなく加速しています。
隙間時間を活用したギグワークや、フリーランス、副業・兼業といった働き方に、いまや企業も個人も注目しているのです」
そうした自由で多様な働き方へ変化の兆しが見えていたところに、コロナのパンデミックが直撃。一斉にオンライン化が進む中、自宅で働ける職種であっても、リモート環境下で「すぐに活躍できる人」と「苦労する人」がいた。両者の違いは何だったのか。
飯田氏によれば、それは「自律型人材」というキーワードで表せる。
「リモート環境は、ある意味『自由の中でいかに自分を高められるか』ということでもあります。そのため、日頃から自律的に学習し、モチベーションを管理し、パフォーマンス高く働いていた『自律型人材』は、コロナ禍でも強かった。
私は、『自由な働き方ができる人』と『学習し続けられる人』には共通項が多いと感じています。どちらも、オーナーシップを持って自分のキャリアをデザインしていけるかどうかがカギなのです」(飯田氏)
つまり、自らのキャリアを設計する決定権も責任も、企業ではなく「個人」にある。言い換えればこれは、「学び続ける」ことが社会人の基本姿勢として求められているとも言える。
しかし、学び続けることの重要性については理解していても、なかなか実践できずにいる人も多い。日本は、「アジア一大人が学んでいない」というデータもある。
これには、学びによる「利益実感」の薄さも関係しているだろう。学生時代までの「学び」は、ゴールが明確だった。いい大学に入る、いい成績を取るなど、ゴールの種類も均質性も高かった。
一方、大人になると、学びのスタート地点も、置かれている環境もバラバラで、そもそも「学び続ける」必要性はあっても、ゴール設定は個々でしなければいけない。
企業の年功序列、終身雇用が崩れていけば、受け身でいても用意される階層別研修などもなくなっていく。
出所:パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」
「成功の定義も多様化している今、自分は何を目指すのか、ロールモデルをヒントに学びを設計し、習慣化していく必要があります。しかし、ロールモデルが見つからず、キャリアを描けないケースも多いでしょう。
メディアに登場するのは、到底真似できないような上位層ばかりで、見れば見るほど自信もやる気もなくしてしまうのです。
組織の2・6・2の法則にある、一般的な6割と、諦めムードの2割の層が学びに意欲的になれるような仕組みづくりが、社会の課題であり、私たちの使命だと感じています」(飯田氏)

明日の仕事で活きる学びの仕組みとは

では、Udemyは「大人の学び」にどのような仕掛けをしているのか。
Udemyは、「教えたい人」と「学びたい人」をオンラインでつなぐ、CtoCのオンライン学習プラットフォームだ。世界で4400万人以上の学習者が利用し、6.5万人以上の講師が18.3万本を超える動画講座を公開している(2021年10月現在)。
扱うテーマは最新のプログラミングから、マーケティング、語学、自己啓発、写真など趣味の分野まで幅広い。視聴制限なしで1コース数千円からの買い切り型のため、いつでも、どこからでも自由に受講できるのが特徴だ。
どんなデバイスからもアクセスでき、隙間時間も有効活用できる。
「最大の特徴は、早ければ次の日から効果を実感できる、実践的で実用的なコンテンツ内容です。講師の多くが最前線で活躍する『実務家』であることによって、それが実現できています」(飯田氏)
社会人の学びにとって、大きな壁のひとつが「時間」だ。目の前の仕事が忙しい人ほど、学ぶ時間を捻出する難しさがある。
しかしUdemyでは、目の前の業務をより効率的に進めるスキルの方法論が講座化されている。すると、そこで学んだ「成功の型」をアウトプットすることで、「早ければ次の日から効果を実感できる」。
目の前の仕事が効率化されるから、忙しい人も学び続けるモチベーションになるというわけだ。
モチベーションという意味では、「人」の存在を感じられるのも、Udemyのユニークネスのひとつ。コンテンツは動画でありながら、講師に質問できる仕組みがあり、やり取りの相互性はコンテンツの質を担保する一因にもなっている。
「『ここがわかりにくかった』というコメントが投稿されると、講師の方が該当部分の動画を撮り直して対応することも少なくありません。
講師の皆さんは、自分が知りえたことをわかりやすく伝え、多くの人に還元したいというモチベーションが高く、受講者の反響にも敏感なのです。
そのペイフォワードやギビングの精神は、Udemyのカルチャーかもしれませんね」(飯田氏)
セール期間であれば、1講座1,000円台から購入でき、長いものでは30時間以上にわたる。低価格であることも、Udemyのありがたい特徴だ。想定したものと違っていた場合、30日間以内なら返金申請できるサポート機能も用意されている。
「実際に受講した人のコメントが次の学習者の背中を押す、いいサイクルが生まれています」と飯田氏。
「たとえば、非エンジニアにとってプログラミングは『興味はある』けれど『はじめるハードルが高い』学びではないでしょうか。ですが、数千円なら手軽に『お試し』ができる。
もっと本格的に学びたいと思えば、上級編のコースを購入してもいいですし、リアルのスクールに通う選択もある。実際、『Udemyでやりたいことが明確になり、逆にYouTubeでも自分に必要な教育コンテンツを選べるようになった』という人もいます」(飯田氏)
学びの面白さを知れば、将来のキャリアのために次は何を学ぼうかという発想もでてくる。まずは目の前の仕事に関係するもの、人気の講座からはじめてみて、不要なところは飛ばし受講してもいい。
自分の意思で学び、成功体験を重ねることが、キャリアオーナーシップにもつながっていくのだ。

学歴以上に「最新学習歴」を誇れる社会へ

このように大人の学びをサポートするUdemyが目指すのは、「最終学歴以上に最新学習歴を誇れる社会」だ。飯田氏は次のように説明する。
「学歴はその方の努力の証なのでもちろん重要ですが、変化に富み、働き方も多様化した時代には、その後の『学習歴』も重要です。社会の変化をポジティブにとらえ、常に自分をアップデートし続けられる人が、自分の描いたキャリアを切り拓いていく。
Udemyは、そんな社会の学びのインフラでありたいのです」(飯田氏)
キャリアの決定権が個人に移りつつある今、企業が従業員の多様な働き方を認め、キャリア実現のためのサポート体制を構築することも必要とされている。Udemyでは2019年から法人向けのサービスも開始したが、コロナ禍で急速に需要が高まっているという。
「Udemyは、自律的に学びを選び取る設計なので、最初は検索窓に何を入れればいいのかさえわからない人もいるでしょう。ですが、どんな人でも多様な学びにアクセスできる場所であり続けたい。これがUdemyの根幹です。
できるだけ選択のヒントを提示できるよう、講座には詳細なコンテンツ説明と、学習した結果どうなれるのか、ゴールイメージが書かれています。
それをヒントに少しずつ学びを習慣化してほしい。一生続く学びの入口としてUdemyを使い、自分なりの学びのスタイルを確立してもらいたい。
その先に、その人らしさや自由な働き方があれば素敵ですね」(飯田氏)