[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は9日、中銀デジタル通貨の開発を引き続き進め、デザインを改善していくと述べた。

中国は世界の中銀デジタル通貨(CBDC)導入競争で先頭を走っており、深セン、北京、上海など主要都市でデジタル人民元(eCNY)の試験を行っているが、正式な導入スケジュールは定めていない。

総裁はフィンランド中銀のイベントでビデオを通じ「今後、eCNYの研究開発を引き続き慎重に進め、デザインと利用方法を改善していく」と説明。eCNYのプライバシー保護と偽造防止機能を改善し、既存の決済ツールとの相互運用性を高めると付け加えた。

また、eCNYが中国の金融政策や金融市場に与える影響を検証するとした。

総裁は、人民銀はプライバシー保護の問題を非常に重要視しており、プライバシー保護と犯罪防止のバランスを取る必要があると指摘。そのために人民銀はeCNYのアプリで「必要最小限」の情報を収集し、個人情報の保存と使用を厳密に管理するとした。

さらに、国境を越えたデジタル決済にはマネーロンダリング(資金洗浄)対策といったより複雑な問題が伴うため、eCNYは国内のリテール決済ニーズに応えることを目指していると述べたほか、CBDCの基準や規則の設定などで世界中の各中銀との協力を強化する意向を示した。