[東京 9日 ロイター] - 日産自動車は9日、2022年3月期の連結業績について、利益予想を上方修正した。純損益は1800億円の黒字(前期は4486億円の赤字)の見通し。従来予想は600億円の黒字だったが、販売奨励金が減少し収益性が改善。持ち分法適用会社の業績改善による投資利益も寄与する。一方、半導体不足などで売上高予想は従来から1兆円近く、世界販売計画は60万台引き下げた。

今期純損益のアナリスト18人による事前の市場予想(IBESのコンセンサスによる予想)は984億円の黒字で、修正後の会社予想は市場予想を上回る。

営業損益も1800億円の黒字(前期は1506億円の赤字)に引き上げた。従来は1500億円の黒字を見込んでいた。新車投入効果などで販売奨励金が減るほか、販売金融事業も想定以上に好調で利益を押し上げる。円安効果も寄与する。

足元の円安基調を受け、今期の前提為替レートは1ドル=110円(従来は=108.4円)、1ユーロ=130円(同129円)に見直した。

日産は営業利益率(中国合弁会社比例連結ベース)について、今期に2%、24年3月期に5%を上回る目標を掲げる。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は会見で、販売台数を追う「量」ではなく「価値の提供を優先することで利益が改善されている」と指摘。「上方修正した営業利益率は2.8%となり、今期目標の2%を上回ることができると確信している。5%に向けても順調に進んでいる」と述べた。

一方、今期の売上高予想は前期比11.9%増の8兆8000億円と、従来の9兆7500億円から下方修正した。半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響で減産を強いられているため。世界販売計画も従来の440万台から380万台に引き下げた。

同社はこれまで、半導体不足などによる生産への影響について、上期に約50万台と想定し、このうち半分を下期に挽回して通期で25万台に抑える計画だった。しかし、10─11月も生産調整は続いており、減産規模は想定以上に膨らむ。グプタ氏は、半導体の供給は「下期も不安定な状況が続く」としたが、「生産できれば販売できる」とも述べ、半導体が確保できればシェアを伸ばせるとの見解も示した。

グプタ氏はまた、昨年5月に公表した構造改革計画以降の重点活動、電池を含む戦略、長期ビジョンについて11月29日に発表することも明らかにした。