2021/11/9

【気候変動】コーヒー産業の大ピンチをイノベーションで救え

INDEX
  • 苦境に立たされるコーヒー農家
  • 生産に適した土地の5割が消滅の危機
  • 不安定な降雨で疫病が流行
  • 世界的なネットワークで新種開発
  • 豆を使わずに作られるコーヒー

苦境に立たされるコーヒー農家

ニカラグアの山地に広がる25エーカー(約3万坪)の農場で、3代にわたってコーヒーとカカオの栽培に携わってきたウィルストン・ヴィルチェスは、ここ何年も劇的な気候の変化を目の当たりにしてきた。
昨年、15日の間を置いて2度のハリケーンに襲われたとき、知り合いの多くの農家が自分たちも対策の一端を担う必要があることに気づいたと言う。
「どこも規模の小さい農家ですが、みんなで力を合わせて、これまでとは違うアクションを取らなくてはならないと考えています」
約300の農家が加盟する組合の運営に携わるヴィルチェスは、気候変動の影響(気温の上昇、予測が難しい降雨、干ばつや洪水などの異常気象、新種の害虫など)によって、農家がコーヒー栽培で生計を立てることが難しくなっていると話す。それは、世界中のコーヒー農家が感じていることだ。
さまざまな団体や企業がこの問題の解決策を模索している。農家の生産性の向上を支援するだけでなく、新種の豆の開発や、野生種の栽培、さらには研究室でコーヒーをつくる試みまで行われている。
一方で、コーヒーの生産は環境に大きな影響を与えるという問題もある。推定値はさまざまだが、ユネスコの水教育研究所によれば、コーヒー1杯分の豆を栽培するためには約39ガロンの水が必要だ。この問題にも対処しなくてはならない。
(Inti Ocon/Getty Images)

生産に適した土地の5割が消滅の危機