2021/11/12
なぜ、「生産性を上げる」ために“チル”が必要なのか
CHILL OUT | NewsPicks Brand Design
コロナ禍以降、リモートワークが普及したことで移動時間は短縮され、分刻みのコミュニケーションが可能になった。労働における「ムダな時間」は限りなく少なくなり、ビジネスパーソンはより効率的に働けるようになる。
しかし、Kaizen Platform代表の須藤憲司氏は「そうした環境だからこそ、クリエイティビティを発揮し、生産性を高めるためには『チル』が必要だ」と話す。
ビジネスパーソンにおける「チル」とは何か。創業時から“生産性ドリブン”な組織づくりを行う須藤氏が実践する、パフォーマンスを向上させる秘訣とは。
しかし、Kaizen Platform代表の須藤憲司氏は「そうした環境だからこそ、クリエイティビティを発揮し、生産性を高めるためには『チル』が必要だ」と話す。
ビジネスパーソンにおける「チル」とは何か。創業時から“生産性ドリブン”な組織づくりを行う須藤氏が実践する、パフォーマンスを向上させる秘訣とは。
「リモート」「出社」はどちらも手段でしかない
須藤 Kaizen Platformを創業する前、リクルートで働いていた頃は、とにかく仕事量が膨大にありました。節目節目で働き方は変わっていきましたが、それをいかに生産性を高く保ったままこなしていくかが僕の軸でしたね。
すると、必然的に「モーレツ」的な働き方になります。その甲斐もあってか、最年少で役員になりましたが、平日は朝6時から会議があって、夜は会食に行き、それが終わればまた会社に戻って仕事。自宅に戻ったとしても、また仕事(苦笑)。
土日も会社の研修やイベントがあったりして、休みなしの生活が約4年続きました。
意外に思われるかもしれませんが、マシンのように仕事に徹することが1ミリも嫌じゃないんですよ。だから、モーレツな生活もそれなりに楽しんでいたんです。
でも、2013年にKaizen Platformを創業してからは、仕事自体を自分でコントロールできるようになったので、感覚的にはずいぶん変化がありました。遅くまで残業しても、「自分で決めてやっている」という意識があるから、すごく楽なんです。これは発見でしたね。
数年経って組織が成長していくと、今度は自分だけでなく「組織としての生産性」について考える機会が多くなりました。
例えば、生産性を上げるために組織をうまく回そうとすると、コミュニケーションを増やす意味でも会議が増えていく。すると、僕のスケジュールがほとんど会議で埋まってしまうんですよ。
特にうちの会社は出社義務もないですし、みんな基本的にリモートで勤務しているので、分刻みでスケジュールを入れていけば「会議というタスク」そのものは消化しやすいんです。
それはそれで便利なんですが、毎日がルーティン化されていくと、自分が「タスクを効率良く処理するマシン」として最適化されていくんですよね。
僕たちが会社としてやるべきことは、「顧客体験DXを通した企業課題の解決」であって、会議をこなしたからといってそれは達成できない。つまり、生産性には直結しません。
でも、考え方や視点が最適化されてしまうと、「そもそも何のために会議をしているのか」という問いに立ち返ることができなくなる。そうした日々を経て、本質的な意味での生産性を上げるためには「ルーティンを崩すこと」が重要だと感じるようになりました。
これは最近の話ですが、緊急事態宣言が明けて、久しぶりに社員とリアルで会議をしたんです。すると、ちょっとした雑談だとか、タスク化されていないコミュニケーションがきっかけで、すごく仕事が捗った。
「リモート=生産性が高い」といった論調もありますが、「リモート」も「出社」もどちらもただの手段なんですよね。
重要なのは、手段をこなすマシンになっていないか、常に本質を問い直すこと。これを意識すれば、生産性を上げて働けると実感しました。
「同質化」の反対は「問い直し」につながる
先ほど、生産性を上げるためには「ルーティンを崩す」のが重要と話しましたが、僕は、そのために2つのことを意識しています。1つは「同質化を避けること」。
仕事をしていると、周囲には自分と似たような人たちが集まりやすいですよね。僕であれば、「インターネット」「スタートアップ」「(顧客としての)大企業」といった属性の人たちが多いので、意識しないとこうした人ばかりと付き合ってしまう。
だからこそ、僕はできるだけ自分と異なる属性の人がいる環境へ、積極的に飛び込むようにしています。例えば、先日は経済同友会の集まりに顔を出して、平均年齢60代の人たちからいろんな話を聞きました。別の日は、フィリピンに行っていた知人と食事をして現地の話を聞き、また別の日には農業をやっている人……という具合です。
そうした同質性を持たない人たちと出会う機会を増やしていくことで、自分の常識がいい意味で揺らいでくる。だからこそ、先ほどのような「実は対面のほうが生産性が高いのでは?」といった問い直しができるんだと思います。
もうひとつ問い直しの例を挙げると、最近、Kaizen Platformでは創業当時から掲げていた「21世紀の新しい働き方と雇用の創出」というミッションを「滑らかな働き方」に変更しました。
昨年オンライン飲みを開いた時、うちの会社は創業当時からリモートワークを導入しているんだ、という話を参加してくれた大学生にしたんです。すると、「リモートワークって何が新しいんですか」と言われて。今の学生からすると、既にそれが普通っていう感覚なんですよね。
そう言われてみれば、今の時代、リモートワークなんて新しくない。まさに前提の問い直しですよね。
社内には以前のミッションに共感して入社してくれたメンバーもたくさんいたので、変更には賛否両論ありましたが、じっくりと話し合った結果、僕の意図を理解してもらえました。それで、晴れて「滑らかな働き方」へ変更できたんです。
自分たちの感覚を常にアップデートし続けるためには、ある種の居心地の悪さを受け入れて、それを内包することが必要です。
その意味でダイバーシティを認めることと、クリエイティビティが発揮されることにははっきりと相関性があります。
だからこそ、会社の組織づくりにおいても、ダイバーシティが必要です。ただし、個人の自主性を尊重するにしても、各自がやりたいことをやるだけでは、烏合の衆になってしまいます。
こちらがパーパスをしっかりと打ち出し、それを共有した上でダイバーシティを実践することが重要ですね。
「能動的なサボり」と「チルアウト」は似ている
生産性を上げるために、もう1つ意識しているのが「リラックスしている状態」であること。
リラックスした状態へ移行するトリガーは人それぞれ違いますが、僕の場合はサウナや散歩、キャンプがスイッチになっています。
これらは総じて「他人を一切気にせず、個と向き合う瞬間」なんですよね。
例えば、サウナの中は単純に暑いので、余計なことは考えていられない。スマホも持ち込めないので、ただ暑さに耐えるしかありません。
その瞬間は本当に無思考の時間になります。散歩している時や、キャンプで焚き火している時も同じ感覚が得られるんですよ。
とはいえ、何も考えていないわけではなくて、「こういうアイデアがあったな」「ああ、これってこういうことか」と、思考を整理する時間になるんです。作りたいものが決まってないのに、粘土で遊ぶイメージですね。
会議室にこもって思考すると、こういう感覚にはなりづらい。書類を作るなど、目の前にあるタスクをこなすなら良いかもしれませんが、クリエイティビティを上げるのであれば、その方法はあまり適してないと思います。
リラックスした状態で、自分と向き合う時間があるから、本質的な問い直しができる。これも生産性に繋がる習慣です。
ちょっと余談になりますけど、僕は昔から「サボり癖」がありまして(笑)。リクルート時代も、あまりに会議が続くと近所のルノアールに行って昼寝していました。
でも、今思うと会議室での思考に閉塞感や行き詰まりを感じて、その状態を脱出するためにさぼっていたのかもしれません。
よく言えば「能動的なサボり」ですよね。これは、英語圏のネイティブがよく使っている「チルアウト(落ち着くや、くつろぐの意味)」の概念に似ている気がします。
自主的でなければ「チル」ではない
コロナ禍もあって、ここ数年で一気にリモートワークが浸透しましたが、疲れている人って少なくないと思うんですよね。個人的にもオフラインよりも、オンライン会議のほうが体感的に消耗することが多い。
個人差はあると思いますが、リモートワークだと隙間なく働いているので、勤務時間はずっと「オン」になっている。だからこそ、先ほどお話ししたチルアウトな時間を作るために、積極的に「オフ」を取ったほうがいいと思うんです。
散歩やサウナだけでなく、ボウリングやバッティングセンターなど何でもいいんですが、体を動かしたりして「考えない時間」を作り、能動的にチルアウトな時間を設けることが重要ですよね。
でも、会社運営をする立場からすると、従業員に「サウナに入ってください」「キャンプに行ってください」と押し付けてしまうと、その瞬間にチルアウトではなくなってしまうんですよね。
チルアウトは他人に強要されるのではなく、自主的にやるからこそ成り立つものなのかもしれません。
「チルする」イメージを想起させるのが面白い
自分自身にとってのチルアウトな時間は、サウナやキャンプなどで過ごしている際に訪れるのですが、そのスイッチを入れるために何かしらの行動をとると、より効果的にその状態になれると感じます。
例えば「コーヒーブレイク」は「仕事の合間に、少し休憩する」ためのスイッチとして、コーヒーを飲む。僕がサウナやキャンプで楽しむ時、チルアウトな瞬間になるためのスイッチになるのがリラクゼーションドリンクの「CHILL OUT」なんですよね。実際に、一緒に行く友人もよく買ってきたりして、飲む機会が本当に多い。
「CHILL OUT」を飲むことがスイッチとなって、自分がサウナやキャンプで体験した「深いリラックス」した状態になっていく。すると日常生活や仕事中でも「CHILL OUT」を飲むだけで、リラックスした記憶を想起できるんですよね。
例えば、エナジードリンクは「気合を入れる」時に飲むもの。だから仕事の踏ん張り時に飲む人も多いと思うんですが、その結果として残る「頑張った」という体験にエナジードリンクが紐づくので、また気合を入れたい時のスイッチとして機能する。
「CHILL OUT」は、よりクリエイティビティなアイデアを考える時や、生産性の高い働き方を実現したい時のスイッチとして、効果的に作用するんじゃないかと思っています。
デザイン:小鈴キリカ
執筆・編集:中野佑也
執筆・編集:中野佑也
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