タカラバイオ、日本国内でmRNAワクチン受託製造 22年
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欧米・日本で最も使われているワクチンはmRNAワクチン(ファイザー/ビオンテック、モデルナ)だと思われますが、発売されてから現在まで、設備の上限量で生産されてきたと思われます。mRNAワクチンの開発については日本は経験が少なく、日本にその商業生産の技術がないことからできませんでした。それをタカラバイオの参画で実施するとの報道です。
日本企業の受託製造は、JCR(兵庫県)によるアストラゼネカ社製(ウイルスベクター型)と武田薬品工業(山口県光工場)によるノババックス社製(組換えタンパク型=商業製造の課題が解決できず薬事承認保留中)があり、共に厚生労働省から助成金を得て行っています。どちらも製造ライセンスを受けての原液製造のレベルでの受託ですが、そのほか瓶への小分けレベルまで含めると第一三共関連企業など複数企業が外国の製薬企業に対して製造協力を行っています。
一躍世界の主流になったmRNAワクチンの技術を獲得することは、高い価値があり、リスクマネジメントの点からも有意義だと思います。一方、2022年での生産設備の実用化となるとmRNAの生産はピーク時に比べると落ち着いているはずです。その時点でmRNAワクチンを有する企業が新たな製造承認を受けてまで委託工場を拡大するかは不明であり、現時点では直接商業的に大規模なビジネスが成立するかはわかっていないと思います。
タカラバイオは、バイオ試薬大手で、日本酒や缶チューハイで知られる宝酒造(タカラホールディングズ)のグループ企業です。ほかにも醸造関係の企業は、発酵技術を軸にした多角化として、バイオ医薬品・生科学系の試薬産業に参入し、当領域で主要企業となっている例が多く見られます。新型コロナウイルスのパンデミック以前にもmRNAワクチンの臨床試験は進められもはいたものの、今回のパンデミックで初めてmRNAワクチンが正式承認されその有効性が世界的に認められました。今後も新たな感染症は必ずいつか発生しますが、mRNAワクチンはコロナウイルスの配列が公開された次の日には候補配列が作成されたという驚異的なスピードで開発ができるのが利点の一つだと思います。今後タカラバイオ、アクセリードなど国内でもmRNAワクチンの製造体制が整うと、有事に迅速に対応できるであろうという点で国にとっても重要なことだと思います。
『モデルナやビオンテックにライセンス料を払い、日本国内でmRNAワクチンを製造すれば良いのに』
と思っていたが、その答えは
『これまで日本に装置がなかったから』
だったとは。
とは言え、これからmRNAワクチンは主流になるだろうから、国内で製造できるようになることは非常に良いことだと考える。