(ブルームバーグ): ドラマ「イカゲーム」などの大ヒットに伴うデータ通信量の急増について、韓国のインターネット接続業者SKブロードバンドが米ネットフリックスに支払いを求めている問題で、ネットフリックスは、要求が認められればエンターテインメント各社は韓国で利益を上げられなくなると主張し、抵抗する構えだ。

SKテレコムの子会社SKブロードバンドは、ネットフリックスにデータ通信量の増加に伴うコストを負担するよう求めて提訴。ネットフリックスは、SKブロードバンドに対しネットワーク手数料を支払う義務はないと確認するようソウル中央地裁に求めていたが、聯合ニュースによると、同地裁は6月、この請求を退けた。ネットフリックスはこの決定に不服を申し立てている。

ネットワーク使用料がネットフリックスに及ぼす財務上の影響は不明だが、やがて急激に大きくなる可能性は高いと、同社の公共政策担当バイスプレジデント、ディーン・ガーフィールド氏はブルームバーグとのインタビューで語った。

コリア・タイムズなど韓国メディアが裁判所情報を引用して6月に報じたところによれば、SKブロードバンドは、2020年だけでネットフリックスがネットワーク使用料として272億ウォン(約26億円)支払う義務があると推計している。これは同社が韓国で昨年上げた収入の6%余りに相当する。

ネットフリックスのアジア地域のサービス契約者のうち韓国は15%を占め、同地域の収入の同様の割合を韓国で上げている。

同社は16年に韓国に進出して以降、番組制作に10億ドル(約1140億円)余りを投じた。ウォルト・ディズニーやアマゾン・ドット・コムが韓国の動画配信分野への投資を強化する中でのコスト増は収益性に響く可能性がある。

「イカゲーム」の価値は1000億円余り-ネットフリックスが推計

ガーフィールド氏は、ネットワーク使用料が認められれば、インターネット接続業者が企業にあらゆることを要求できる「不公平で非競争的な環境」につながる可能性があると主張。韓国の顧客が望むサービスを提供する能力が損なわれる恐れがあると述べたほか、他国の接続業者も韓国の前例に倣うリスクがあると指摘した。

原題:Netflix Pushes Back Against ‘Squid Game’-Juiced Korea Usage Fees(抜粋)

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