2021/10/26
最強カーライル、スタートアップ投資参入の「謎」を語る
スタートアップ界のホットなトピックを深堀りしていく連載「Startup Insight」。今回のテーマはプライベート・エクイティ(PE)だ。
かつてスタートアップ投資とは無縁だったPEファンドが近年、この領域に参戦していることが話題を呼んでいる。
なぜ今、PEがスタートアップ投資に手を広げているのか。米ワシントンD.C.を本拠とするPE大手カーライルグループのマネージング・ディレクター、小倉淳平氏が、カーライル内で議論してきた戦略ロジックをNewsPicks上で寄稿解説する。
INDEX
- PEのスタートアップ投資
- ファンドの縄張りマップ
- 溶けてゆく境界線
- ニーズが一致したポイント
- PEの利益「3つの源泉」
PEのスタートアップ投資
小倉 PEファンドがなぜ、スタートアップ投資を拡大しているのか、聞かれることが増えてきました。
われわれカーライルもつい先日、9月に日本のユニコーン企業Spiber(スパイバー)に100億円を出資したことが話題を呼びました。
それもそのはずで、本来、PEの主戦場は上場企業への投資であり、成熟した安定成長期の企業がターゲットです。しかもPEは通常、株式の過半を取得するマジョリティ出資を得意としています。
ところが、スパイバーは未上場企業であり、国内初のマイノリティ出資案件でもありました。「なぜカーライルが?」という質問を受けるのも当然です。
しかしこうした例は、何も日本国内に限った話ではありません。世界を見渡せば、大手PEがスタートアップ投資を加速させている例は、枚挙にいとまがありません。
これらの動きを捉えるニュースでは、「世界的な金余りが背景にある」といった解説をよく見かけます。その通りですが、それだけでは正確に説明しきれていません。
ではなぜPEは、スタートアップ投資に続々参戦しているのでしょうか。
われわれとしても、世の中に理解をしてほしいという思いを持っています。できる限り、社内で議論してきた内容をお伝えしたいと思います。
ファンドの縄張りマップ
まず、PEファンドが本来どういう位置づけにあるのかを知るために、広義のファンドの“縄張り”をマッピングした図をお見せしましょう。
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