値上げだけじゃない。インフレが生む「サービス劣化」の現実
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消費者としてサービスに見合った価格を負担してもいいと思っています。
先日、どちらが価格に相応なのか判断しにくい体験がありました。
自宅近所にある最大手ハンバーガーチェーンは、昼の混雑時でも愛想のよい接遇、キッチンスタッフもテキパキ働き、短時間で提供される、超洗練されたサービスが安価で受けられます。
一方、その隣にある最近流行りの唐揚げチェーンは、いつ行っても愛想無い、クーポン券使えるケースと使えないケースもバイトにより回答違うし、安価で美味しいんだけど、なんか嫌な気分になるので、行きたくなくなります。
この2つ値段なりのサービスなのはどっちなのでしょうか?
勤務先が入居するオフィスビルの警備員さん、朝も帰りも挨拶してくださいます。
一方、ビルテナントの社員たちは、ほぼ無言で通過。
この2つもノーマルなのはどっちなのか毎回考えさせられます。物価指数の本質的問題を取り上げた良記事と思いました。
インフレ率は「物価指数の前年比」で表されることが多い訳ですが、現実には「去年と全く同じモノやサービス」を探す方が難しい。そこで品質調整という手法が使われる訳ですが、これは様々な問題を伴います。
まず、全てのモノやサービスに品質調整をかけているのではなく、現実には「品質調整しやすいモノ」を恣意的に選んで品質調整を行っていることです。
例えばPCなら、CPUやメモリー性能など定量化しやすい要素が多いため、ヘドニック調整をかけやすい。しかし、例えば「今の野菜は昔の野菜のように美味しくない」と言って、「●●さんの作った特別な有機野菜」などを購入する人々も多い訳で、食品の「美味しさ」(あるいは手を抜くことによる「不味さ」)に品質調整をかけることは困難です。ましてや、記事にある「サービスの質」は、品質調整はほぼ無理でしょう。
また、ヘドニック法による品質調整時代、恣意性を完全に避けることは困難です。例えば、PCの処理性能が10倍になったら効用が10倍になるのかと言えば、現実には、古いPCを持ち続けていても今のソフトの多くが十分動かせないため、仕方なくPCを買い替える人々も多い。そう考えると、PCのカタログ性能通りに人々の「効用」まで増加している訳ではないかもしれません。また、PCやスマホは世界中ほぼ同じものが供給されている筈ですが、その価格変動は、品質調整のやり方の違いを反映し、各国間でかなり違っています。
さらに、品質調整の有無や方法次第で、各国の物価指数に相当大きな差が出るということです(日本の物価指数が帰属家賃の調整次第で大きく変わるというのは有名な話)。
これは特定の物価指数が悪いということではなく、全ての物価指数が避けがたい本質的問題です。重要なことは、問題を十分認識した上で、物価指数の特定の数値に過度に拘るのではなく、他の経済変数も踏まえながら幅を持って指数を捉えることだと思います。なお、東大の渡辺先生らは「公式物価指数はインフレの実態をどこまで反映するか」と題した論文で、CPIには実際のインフレを過大評価する傾向があることを確認しています。