【明石ガクト】『イカゲーム』にあって日本の作品にないもの
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キリスト教の要素が含まれているという点は、2021年アカデミー賞作品賞にノミネートされ、ユン・ヨジョンが助演女優賞を獲得した「ミナリ」にもふんだんにちりばめられています。同作品は韓国系の移民史という話しだけでなく、キリスト教的な価値観が含まれている点に焦点をあてた評論があります。
こちらのほかに、もう一つ、聖書の出典まで遡った論評を映画評論サイトでみたのですが、みつからず。
https://eiga.com/movie/94385/review/02532219/
こちらは、韓国移民社会におけるキリスト教の重要性の視点を含めて解説したもの。
https://wired.jp/2021/03/31/minari-review-ikeda/
他方、韓国文化に詳しい伊藤順子氏はキリスト教的要素の強調は、必ずしも国内ではプラスにならないという指摘もしています。
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/column/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%82%8B%E3%80%81%E9%9F%93%E5%9B%BD%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E7%B4%A0%E9%A1%94/13786/4
また、こちらは非常に深い韓国映画評論をしているチェ・ソンウクさんによる評論で、キリスト教的要素には触れず、韓国国内の視点からの評論。
https://www.cyzowoman.com/2021/04/post_334951_1.html
どの評論にも一理あり、こうした多角的で深い解釈を呼ぶところが、最近のグローバル市場に出てくる韓国映画やドラマの強みではないでしょうか。
ちなみに、私は、「イカゲーム」は、昨日のハンナさんの評論の通り韓国的要素をクリアに出しつつも、韓国だけでなく世界各地でも似たような格差などの課題があり、その共感がスマッシュヒットのベースにあると思います。「椿の花咲く頃」は逆に韓国文脈が非常に強く、国内最高峰の百想芸術大賞を受賞したことも頷けます。「イカゲーム」とは対照的に「椿」や「海街チャチャチャ」のような悪人要素がないドラマももう一つのトレンドと言えそうです(椿は若干悪人あり)。
注目のコメント
国境を超えた大ヒットとなったイカゲームと、日本の「神様の言うとおり」、「今際の国のアリス」といったデスゲーム作品は何が違うのでしょうか。
単純に予算規模やクオリティの問題という意見もありそうですが、動画プロデューサーの明石ガクトさんはキリスト教文脈や人間の根源的な感情といった世界で通じる「文化的コード」に向き合ったことが大きいと分析しています。
そういったイカゲームから見えてくる、コンテンツのトレンドについて明石さんに話を聞きました。>グローバルコンテンツを作るには、キャッチーな部分だけではなくて、上位概念の「文化的コード」のところで伝わることが必要
正にその通りですね。黒澤明監督の映画が海外で高く評価されたのも、侍映画という、欧米から見たらキャッチーな物語に西部劇の要素を取り入れて、普遍的な作品に仕上げた点が大きいと思います。
>例えば、日本独特の企業文化を描いた『半沢直樹』を海外の人が見たら、「(半沢直樹が)会社を辞めればいいのに」と思われるだけで、物語の意味がなかなか伝わらない
ここもクスリと笑いました。うちの子どもたちも同じ感想を漏らしていました(母親が傭兵稼業なので)。
明石ガクトさんの分析は面白いですね。