各国中銀は物価動向注視を、一過性の物価圧力は看過可能=IMFC
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グローバルにインフレを警戒する。中々ない構図です。これまではグローバルにデフレを警戒する流れでした。いわゆる非負制約の下、名目金利の操作による金融緩和のトランスミッションメカニズムの機能不全を懸念していたためです(まどろっこしいが、建前はこのようなものかと思います)。
主要中銀は現在、コロナ禍からの正常化を模索する中で、景気の腰折れは回避しなければならないが、かと言ってインフレ加速による経済の不安定化も防がなければならない、ある意味で相反する政策命題に直面しています。
グローバルな供給不足の中、物が作れないわけですから、円安論者が為替安で輸出が吹くと言うロジックもどうかと考えます。今は為替高誘導が意識されつつある局面で、現に欧米の政策当事者から為替安が望ましいと言うスタンスは余り確認できません(そもそも、本当は言ってはならないはずですが)。
日本は低成長国ですから、インフレ加速が他国より軽微でも、影響は相応にあると考えるべきではないでしょうか。実質所得が増えていれば話は別ですが。
注目のコメント
たとえインフレ圧力が恒常的なものであったとしても、政府の債務がGDPの2.6倍(米国1.3倍、ドイツ0.6倍)、日銀のバランスシートがGDPの1.6倍(FRB0.4倍、ECB0.5倍)に達した日本では、日銀が国債を買うのを止めて金利を上げてインフレ退治に乗り出すわけに行きません。利上げに動けば巨額に上る国債の利払いが膨らんで政府の赤字が膨張し、保有国債の平均利回りが0.23%しかない中で準備預金への利払いが膨らんで国債の価格も下がり、政府も日銀も困難な状況に置かれることは必定でしょうから。
低インフレで日銀が国債を買い続けることを前提に政府が国債で財政支出を賄い続けた結果、今の日本はインフレ対応が極めて難しくなっているように感じます。世界的に高まるインフレ圧力が日本を襲ったら大変です。『インフレ圧力は一過性であり、経済正常化とともに薄れていくため「看過する」よう求めた』とのことですが、当たっているよう念じます。