【匿名座談会】私はこうして、ストックオプション長者になった
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ストックオプション制度は、十分な現金報酬を支払う体力がないスタートアップ企業が優秀な人材を獲得する際のツールとして考えられている一方、「万能薬」ではないようにも個人的に感じています。
当該企業の成長を自分ごとのように考えてくれる役職員の貢献に応えるために、また、役職員に当該企業の成長を自分ごとのように考えてもらうために、有効に機能する場合も多いとは思いますが、全ての場合において狙い通りの効果があるとは限らないと思います。
加えて、足もとは信託型ストックオプション制度のような新たな仕組みも登場・普及はしていますが、やはり完全に公平かつ納得感のある制度設計・運用は困難でもあり、結局は現金報酬やそれ以外の価値提供も含め、総合的に「ここで働き、パフォーマンス向上に努めて頂く」ための仕組み構築が必要であると考えています(自分自身への問題提起も兼ねて)。
注目のコメント
シリコンバレーだと、記事内であったべスティング+クリフに加えて、役割に応じてストックオプションの割合を柔軟に分けているケースも多いです。例えば営業系だと、営業実績に基づいた報酬になるので、ボーナス含めた現金収入は多め、一方CFOだと現金収入は業務パフォーマンスにあまり連動しないので、現金収入は低めだが、ストックオプションの比率は少しだけ営業系よりも高いなど。このあたりの業界水準もある程度は明確です。また会社のステージに応じてどの役職/役割の人にどのくらいのストックオプションを出すべきかという水準もあります。
また退職時に従業員株を手放すケースはありますが、そういった株を大量に買って戦略的持ち分を増やしていくVC(セカンダリー取引)もあり、エコシステムの一助を担っています。通常VCのセカンダリー取引にはファンド総額の20%までの制限がつくので、これに影響されないためにRIA(Registered Investment Advisor)というステータスになるVCもあります。a16zなどはその代表例ですね。
あとよく聞く話が、海外有力スタートアップが日本進出をする際、大企業出身者ほどストックオプションではなく、現金収入を求めるので、最初の希望額がCEOの現金給与を超えているというケースです。このあたり、ストックオプションの認識が前向きに変化していく中で変わっていくとは思いますが。。匿名で登場するゲームクリエイターが面白いです。わずか10年ちょっと前、ゲーム大好きなフリーター上がりの社員たちが、ストックオプションで億単位のお金を手にしたと言うのは、なんだかちょっと気持ちが良い。
ちなみに冗談で、スタートアップで働いているなら「チャンスがあれば、社員番号が若い人と結婚しろ」と言われるのも、初期社員がストックオプションによって大きな金銭的報酬を手にしていることがあるからです。
日本ではユニコーンが10社を超えましたが、もっともっと多くの人が、こうしたインセンティブの仕組みを理解すべきだと感じます。この記事は今後スタートアップへの転職を検討されるような方が一番食いつく記事だと思いますが、その上で、ストックオプション行使によるキャピタルゲインを早期に人生設計に組み込んだり、マネープランとして採用することは避けた方がいいと思います。
確かに有力VCポートフォリオなどによって、IPOする企業の選択確度はあがるかも知れませんが、そもそもVCの投資先でも上場に至らないケースはかなりザラにあり、M&AなどのイグジットによってSOが無価値となるようなケースもあります。あくまでアップサイドとして期待をしておいた方が健全です。
一方で、最近のスタートアップは10年前のベンチャーとは違い給与水準も上場企業並みであったり、フレックス制や子育て共働き世代への理解が深いなど、大企業よりも優れた職場環境であることが珍しくありません。そのため、ダウンサイドをSOで相殺して考えるということ自体が旧時代的です。
とは言え、入社前にSOが付与されるかどうかについては十分に確認した方が良いと思っています。面接で「SOだけが目的か?」と思われるのは論外ですが、高いコミットメントを求められることが多いスタートアップにあって、事業の成功と報酬が連動していた方が良いですし、そこをごまかしたり、制度設計やSO設計の思想が雑な起業家はちょっとこの時代にあっては信頼に足らない気がします。
自分の働く時間は最も貴重な資源ですので、金銭面のみならず、事業の成功や心から納得できる企業で働けると、結果としてSOでも大きなリターンが得られるのではないでしょうか。