2021/10/12

【∞プチプチ誕生秘話】おもちゃクリエーターが語る「最愛」からはじめる企画の第一歩

NewsPicks 映像事業 ディレクター
人の「欲求」は際限がない。
美味しいものを食べたい、海外を旅したい、素敵な部屋に住みたい……。こうした人々の欲求は言い換えれば「ニーズ」になる。
営業、商品企画、サービス開発、コンサルティングなど多くの仕事で、人々の欲求を適切に捉え、解決することができれば、新たなビジネスチャンスにつながるはずだ。
──と、されてきた。しかし昨今、企画の「常識」に大転換が生まれている。
今回、新作MOOCに株式会社バンダイで累計335万個を売り上げた「∞(むげん)プチプチ」の開発者・高橋晋平氏が登場。『「欲求」から始めるビジネス企画術』について講義した。
そこでEpisode1の内容をダイジェストでご紹介しながら、これまでの常識を覆す、新しい時代の企画術についてエッセンスをお伝えしたい。

「誰の」欲求を一番に叶えるべきか

バンダイを経て独立し、おもちゃクリエーターとして人々の欲求をおもちゃやゲームで解決する高橋氏は、「欲求基点」で企画を創るべきだと説く。
これまでビジネスの現場では「より顧客課題が大きく、より多くの人の欲求を満たす商品・サービスをつくらなければならない」とされてきた。
しかし高橋氏の述べる「欲求基点」の企画術は、ユーザーリサーチからはじめる従来型のマーケティングとは全く異なる。
動画はこちら
高橋晋平(たかはし・しんぺい):株式会社ウサギ 代表取締役。1979年秋田県北秋田市生まれ。2004年に株式会社バンダイに入社し、大ヒット商品となった玩具「∞プチプチ」など、バラエティ玩具の企画開発・マーケティングに約10年間携わる。2013年にはTEDxTokyoに登壇し、アイデア発想に関するスピーチを発信。2014年より現職。企業の企画ブレーンや、チームを育成しつつ新商品を立ち上げる「企画チームビルディング」などに従事。著書に『企画のメモ技』(あさ出版)他。
高橋氏いわく、これからの時代、ビジネスの企画に重要なのは企画者が「自分自身の欲求」に正直になることだという。
その商品は、自分自身がお金を出してでも手に入れたいと思えるか。その商品を使うと、どれほど自分が得するか。
そんなふうに「自分の欲求基点」で企画を練ることで、これまでにない強い企画が生まれるのだと高橋氏はいう。
市場データを超越する強い企画を生むシンプルな方法
企画を練る際、多くの場合で外部の市場データを参考にするだろう。
しかし企画をブラッシュアップするにつれ、「消費者としての自分が欲しいのはこんな商品だ」「私はもっとこんな商品を使いたいんだけど」というユーザーとしての自分の想いに気付くことがあるだろう。
「喉から手が出るほどこの商品が欲しい」と消費者に思わせるには、こうした消費者としての自分の感覚を無視してはならないと高橋氏は説く。
「欲求基点のビジネス企画」とは、自分または自分と一心同体と言っていいくらい、最愛の人・身近な人が欲しがるプロダクトやサービスを生み出すことである。
高橋氏の開発した「∞(むげん)プチプチ」も同様だ。「∞プチプチ」は、宅配便などで、品物を衝撃や破損から守る緩衝材、いわゆる「プチプチ」を無限に楽しめるキーホルダー型のおもちゃだ。
この発想の出発点は、子どもの頃から不安感の強かった高橋氏の、「ずっと触り続けることが許される、楽しめるおもちゃが欲しい」という欲求から生まれた。
結果、この「∞プチプチ」は大ヒットとなり2008年に第1回おもちゃ大賞を受賞する商品となった。
自分が欲しくてたまらないものを創る、というシンプルな企画術。
Episode2では、具体的にどのように企画を創るのかについて解説し、Episode5では「アイディアは『質』より『量』である」ことをお伝えする。そしてEpisode10では「アイディアのあふれるチーム作り」の極意を説明している。
このMOOCを見て、アイディアが次々と溢れる企画パーソンへの第一歩を踏み出してはいかがだろうか。
動画はこちら