2021/10/18

【後編】仏教を知れば、「悩み」とうまく付き合える

COTEN深井龍之介さんがホストを務め、リベラルアーツについて語りながら、世界をとらえ直していく連載対談「a scope」。
実験寺院・寳幢寺(ほうどうじ)僧院長の松波龍源さんをゲストに迎えた前回は、仏教がいかにロジカルな哲学であるかを学んだ。
後半は、私たちが生きるうえで抱える「苦しみ」にフォーカスする。また「輪廻転生」「諸行無常」といった仏教ならではの概念も、ロジックで解説していく。
本企画はPodcastで全4回の「完全版」を無料配信しています。第1回第2回第3回第4回はこちらからお聞きください。

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INDEX
  • 苦しみはコントロールできる
  • 念仏を唱えると、なぜ救われるのか
  • 輪廻転生をゲーム理論で解説すると…
  • 実は、現実主義者だったブッダ
  • 結局、「悟り」とはどんな状態か
  • 世界はブッダの理想に近づいている

苦しみはコントロールできる

──前回、仏教はロジカルな哲学であることがよくわかりました。「自分が世界をどう認識するか」が重要であるならば、私たちがいま抱えている悩みや苦しみも、認識の問題じゃないかという気がしてきたのですが。
深井 ええ、それについて考えていきましょう。まず、ブッダは結構ネガティブな人ですよね。
龍源 そうなんです。経典などでも「苦しみ、苦しみ」って結構うるさいんです(笑)。でもよく考えると、苦しみにフォーカスするのは正しい部分もあって。
日常生活を考えてみてください。苦しいことがあると、いろんなことが楽しくなくなりますよね。たとえば歯が痛かったら、おいしいものを食べても味わえない。
逆に、取り立ててハッピーなことがなくても、ちょっとした不快感やしんどさがなければ、ふわっと幸せな気分になれませんか。