欧州の天然ガス価格 高騰で一時過去最高値 市民生活にも影響
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欧州の天然ガス価格が、「上昇」とか「高騰」というレベルを超えて「爆騰」というレベルになっています。燃料代に加えて、欧州は風力発電が思ったように発電しなかったこともあり、電力価格も同じく爆騰しました。9月は各国で、連日過去最高水準の市場価格という状態。特に英国は暴騰というレベルで、電力小売事業者もパタパタ潰れました。
ただこれは、欧州だけではなく、世界中で実はエネルギー価格が急上昇しています。
中期的な流れを振り返ると,2015以降の価格低迷とパリ協定の成立等による気候変動対策として、開発投資が停滞しました。原油や天然ガスの開発投資が滞ると、だいたい5年後くらいの供給能力がダメージを受けるので、いまこの5年間のツケが来ているという状況です。昨年から,コロナによる需要減や脱炭素の波をうけさらに縮小していたので、今後も供給力は厳しい状況が続くでしょう(そもそも気候変動対策で、石油も石炭も天然ガスも開発するなということになっているので、当然なのですが)
また、需要の方は、コロナからの経済回復を目指す各国の景気刺激策で2020後半から一気に増加基調。また,特に欧州ではここ数年石炭火力の閉鎖が加速し、天然ガス需要が伸びていたのも痛手となりました。
先日PICKしましたが、欧州のエネルギー会社が、いまは石炭を買いあさっているという状態です。
日本の状況が心配されるのですが、日本はかなり長期契約が多いので、今のところかなり影響は抑えられています。ただ、原油価格や石炭価格も上がっているので、もちろん影響は少なからずありますし、これから冬に向けて大きくなっていくでしょう。アジアには何といっても巨大市場中国があり、中国政府が「金に糸目をつけず調達しろ」と言っていますので、スポット市場での調達で買い負けないようにするのは大変なこと。
長期契約は、市場が落ち着いているときには「燃料を高値で買って!」「日本のエネルギー会社の殿様商売」と言われたりするのですが、今は長期契約さまさま。
つくづく、エネルギー事業はリスクヘッジが肝要。
というあたりを、明日のNHKニュースウォッチ9で特集するとのことで、午前中ビデオ収録しました。こうした中、中国だけではなく、ドイツやポーランドも石炭火力発電の割合を高めている。フランスでは、木屑暖房装置に国家から補助金(家庭の経済力に応じて最大90%)が出て大人気になっている。