フェイスブック内部告発者、その動機と目的は?
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前編とそのコメントを読むと分かるが、今回の騒動で何かFacebookに決定的致命的な問題や落ち度があったかと問われたらnoだと思う。
ではこれだけ騒がれた論点は何か?
それは、結局のところFacebookはビジネスをしているのであって慈善事業をしているわけではない、という事の確認作業であると私には見える。
自動車も死亡事故を起こすし排ガスを出す、コーヒーには中毒性があるしビールもワインも言わずもがな。
テレビやゲームの製作者はもちろん血眼でユーザエンゲージメントを追求する。
人々はFacebookだけに清廉潔白を求めるが(その理由も分かるが)、利益を追求する以上は自社サービスへの人々の興味関心を惹きつける事に血道をあげるのが普通、それと倫理とが衝突することはFacebookに限らずあらゆる法人、個人によくある話。所詮はそのバランスを取ることが経営の仕事というだけといえばだけの話。
それをセンセーショナルに報じる事を仕事とするWSJと、浮かばれない庶民の意を受ける政治家に、ある意味でこの人は利用されているという見立てもあるだろう。
この人も上記論点において、例えば下記発言などを見るだに非常にナイーブあり、したがってザッカーバーグもほとんど取り合わずやがて今までの批判と同様に過ぎ去るだろうと考えているのだろう。
ー フェイスブックはユーザーを引きつけることが難しくなるなら、安全性を向上させる取り組みを受け入れたがらないように見えたとホーゲン氏は語る。それが自身や同僚のやる気をくじかせたという。
私が繰り返し「ガバナンスの問題」と言っていることがここにも書かれています。完全に清廉潔白な会社などなく、なんらかのマイナスは出てしまう、しかしそのマイナスをなるべく減らすために「どれだけの経営資源が割かれているのか」という問いです。
自動車事故が全部自動車メーカーの責任ではないけれど、車輪が外れてしまう欠陥があると知っていて、それを直したりリコールしたりするにはお金がかかるから隠蔽するのは問題です。マイナスを減らすためにどれだけお金や人をかけるのか、というバランスの問題が問われています。
そして、それは「善か悪か」の問題ではない。多少人が死んでも短期的にお金が儲かる方が良いのか、長期的に社会と共存していける方が良いのか、というタイムホライゾンの選択肢です。告発者のフランシスは、こんなことでFBが吹っ飛ぶとも清廉潔白な会社になるとも思ってはいないはずで、ただ「長期的」な選択肢を選んで欲しいということだと思いますし、もし私がFB社の取締役だったなら同じ方向で意見を述べると思います。
今、世界的に経営で「ESG」が求められるのは、「環境対策」という意味だけではなく、このように「長期的」選択肢でリソース配分をする会社が株主に好まれるようになっている、ということだと思っています。
SNSなどのユーザーコミュニティを持つようなプロダクトマネジメントにおいて、大規模なものはタウン運営型のプロダクトマネージャーとかそういう言い方をすることがあるんだけども、十億人を超えるようなプラットフォームではもはや国家運営に近いものがあるよな。
他のビッグ4に比べてユーザー同士の交流に一定の介入が存在するサービスだからこそ難しいことが多い。
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