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「帝国の墓場」アフガニスタンに、なぜ大国は踏み込んでしまうのか。不思議なくらい、この山と渓谷の広がる貧しい土地に踏み込んでは、滅亡への端緒を開く大国が相次いできました。
 ソ連も、アフガニスタンに進駐しなければ、あるいはもっと存続できていたかもしれません。
 米国にしても、その国力の源が経済であるならば、アフガニスタンに手を出したところで何のプラスにもなりません。
 まるで魅入られたようにアフガニスタンに踏み込んで身を滅ぼしてきた国々の歴史と比べれば、米国はまだしも損害が少ないまま足を洗った方といえるかもしれません。

シャーロック・ホームズは、軍医であったワトソンと初対面の際に「アフガニスタンにいらっしゃんたんですね。」と話しかけています。ワトソンは、第2次アングロ・アフガン戦争で負傷して、英国に帰国したところでした。すでに英国はアフガニスタンで泥沼の戦いに引き込まれていました。ワトソンが負傷した戦いも、山岳地帯で各地の地域勢力から相次いで攻撃を受け、撤退を開始した途端、さらに襲撃が相次いで壊滅する、といういつものパターンでした。

何の利益にもならない貧しい土地アフガニスタンですが、しかし大英帝国を支えていた一面もありました。アヘンくらいしか特産品が無い、といわれてきましたが、まさにそのアヘンやアヘンから生成されるヘロインをアジア諸国で専売するのが英国が植民地を維持するうえで必須といっていいくらい重要な財源でした。アフガニスタンでつくったアヘンを中国に輸出する、という英国の植民地ビジネスモデルは、各国が真似することになりました。シャーロック・ホームズのようにアヘンやヘロインを常用する英国人まで増えていきました。
 上海のサッスーンハウス(和平飯店)で知られるサッスーン家のような英国のユダヤ人商人は、アヘン貿易を請け負うことで莫大な富を築きました。
 日本も、日清戦争後、台湾などの植民地を経営するようになった時、アヘン輸入を手がけるようになったことが、日本がこの地域と関係を持つようになった最初のきっかけといえます。

本稿では書きませんでしたが、アヘンとヘロインは、アフガニスタンの地政学とグレート・ゲームの重要な要素です。今やイランやアフリカ、ロシア、トルコを経由して、米国やヨーロッパ、そして中国、インドといった新市場への輸出を急増させています。
今月のプロピッカー新書は「アフガニスタン」です。日本ではあまり知られていない現地の地理、歴史、文化を、静岡県立大学准教授の塩崎先生に解説いただきます。

塩崎先生が普段投稿されているコメントを見て、そのディープさに感銘を受けている方も多いと思います。本連載でもそうした、他とは一味違う、一歩突っ込んだ内容をご期待ください。
日々のプロpickerの塩崎先生のディープなコメントも、それに一部反論・補足するプロpickerの方々のコメントも、どちらも大変興味深く拝見しております。
詳細な解説に対しては詳細な反論や補足コメントが集まる傾向があるので、今後も期待しております!
こういった歴史的な事実をなかなか学べないから、何でアフガンでこんなことがあるんだろうって思う人も多いと思います。僕もその1人です。
この連載について
教養を身につけたいけども、忙しすぎて学ぶ時間が取れない。一方で、日々のニュースだけでは、体系的な知識を得られない──。そんなビジネスパーソンに向けて、NewsPicks編集部が月ごとにテーマを設定し、専門家による解説記事をお届けする。週末のひとときで、手軽に「新書一冊分の知識」を体得してほしい。