2021/9/24

【小倉ヒラク】理想を現実にする「名乗る」ことの大切さ

酒やチーズ、納豆などの食品から洗剤、さらには抗生物質などの医薬品まで…。発酵の作用は広く利用されている。地球の生態系を支えているのも発酵で、それなしでは、私たちの生活は成り立たない。

しかし、私たちは発酵についてよく知らない。身近にあり、重要な存在ながら、微生物は目に見えないからだ。

そんな目に見えない微生物のナビゲーターとして、発酵文化を世の中に伝え続ける男がいる。発酵デザイナーを名乗る小倉ヒラク氏の半生とともに、発酵の魅力に触れていこう。
INDEX
  • 「君、免疫不全だな!」
  • 独立するも、創業した会社を去る
  • 「発酵で生きる」と決めた日

「君、免疫不全だな!」

スキンケア会社に入社したのは、2008年のこと。デザイナーとして、チラシやWeb、会報誌やDMなどの制作を行っていました。
当時の目標は、カッコ良いデザイナーになること。
もちろん発酵とはまだ出会っておらず、バリバリ仕事をして作品を残す将来をイメージしていました。
だんだんデザインの仕事が楽しくなってきて、少しずつ副業にも手を出し始めました。
夜まで会社で働き、それから友達と夜通し遊ぶ。朝、クタクタになって家に帰ってきつつも、毎日を楽しく過ごしていました。
ところが、そんなある日のこと。あまりのオーバーワーク(と遊び)に体が悲鳴をあげ、朝目を覚ますと体が動かなくなってしまいました。
なんとか起き上がって歩くと目眩がするし、気圧が低いと耳鳴りがやみません。
ついには、持病だった喘息やアトピーがぶり返し、首や関節の皮膚が乾いてボロボロになっていました。