2021/9/19

【亀山×宇野常寛】「検索で出てこない世界」に目を向けよう

DMM.com 取り仕切り役 会長
DMM.comの亀山会長がホストを務め、さまざまなゲストを迎える「亀っちの部屋」Season2。今回のゲストは、評論家でPLANETS編集長の宇野常寛氏だ。
サブカルチャーから政治まで、あらゆるジャンルを鋭い語り口で批評する宇野氏。「PLANETS」の名でメールマガジンやウェブメディア、雑誌を制作する編集者でもある。
SNSを中心とした現代のインターネット社会に警鐘を鳴らし、これまでも不定期で雑誌を刊行してきた宇野氏だが、このたび満を持して、定期刊行の雑誌『モノノメ』を創刊した。
なぜウェブ全盛のこの時代に、「紙の雑誌」を定期刊行するのか。亀山氏が聞いていくと、「文化的テロリズム」という象徴的なワードが飛び出す。
*音声版は前後編で配信します。こちらからお聞きください【前編】【後編
INDEX
  • 雑誌の総合的な世界観を見せたい
  • SNSでの発信が人をバカにする
  • 「ウェブ2.0」の予測は外れた
  • 「モノノメ」とは何か
  • 現代人には、孤独が足りない
  • 「虚構の力」をよみがえらせたい

雑誌の総合的な世界観を見せたい

──今回のゲストは宇野常寛さんです。お二人が知り合いだったのが、ちょっと意外でした。
亀山 10年くらい前、俺が「社会デビュー」してインタビューを1~2本受けたばかりの頃、それを見て宇野さんが「取材したいです」って連絡してきたんだ。
宇野 どの媒体で見たのか覚えてないんですけど、レンタルビデオ店から今のDMMを築いた話とか、おもしろい人だなと思ったんです。でもサシで話すのは、それ以来かもしれないですね。
亀山 そうなんだよ。10年ぶりに連絡が来たと思ったら、「こんど紙の雑誌を出すから広告出しませんか」っていう営業メールだった(笑)。
宇野 10年ぶりに連絡してお金をせびるという(笑)。申し訳ないんですけど、でも用事がないのに亀山さんに連絡しちゃいけない気がして。
亀山 いやいや、そんなことないよ。それで、なんで今さら紙なの?って気になるから、「亀っちの部屋」に呼んで聞いちゃおうと思ったんだ。
亀山敬司(かめやま・けいし)/DMM.com会長
1961年、石川県加賀市生まれ。石川県でレンタルビデオ店を開業後、1998年にインターネット事業に参入。現在、動画配信、ゲーム、3Dプリンター、英会話、FX、太陽光発電、教育事業など、多岐にわたる事業を展開している。
──この9月に創刊された雑誌『モノノメ』ですね。近年の宇野さんの活動は、ウェブメディアやメールマガジンを主軸にしていましたが、なぜいま「紙」なんですか。
宇野 もともと僕は『PLANETS』という雑誌を発行していて、それが看板的な屋号になっていって、会社の名前にもなっていったんです。だからもともと、紙は好きなんですよ。
質感とか物体としても好きだし、デザインに凝るのも楽しくて、それをやっていると充実感を覚える。ある意味「紙フェチ」なのかもしれません。
亀山 ただの紙フェチ(笑)。