米インフレ期待、8月は5.2%に上昇 8年ぶり高水準=NY連銀
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この調査のNY連銀のサイトは良くできていて
https://www.newyorkfed.org/microeconomics/sce#/influncert-8
いくつかの興味深い事実が一覧できます。例えば、
①インフレ予想はこれまでは安定的に2%にアンカリングされていたが、最近ではややアンカーが外れつつあるようにも見受けられること。
②低所得層ほど、物価上昇の不安を強く抱いているように見受けられること(これは、上昇が目立っているのが食料、家賃、ガソリンであることを考えても、さもありなんと思います。)
米国当局として、このような動きに配慮した情報発信を行わざるを得なくなってきていることも、当然だろうなと感じます。米国の経済成長を期待しての結果なのでしょう、1年先の期待インフレ率は高い。家賃を10%と回答しています。コロナ禍でも家賃は下げ止まっていたはず。にもかかわらず二桁においたということは、実態としても家賃上昇があるからでしょう。
医療費も9.7%と回答。コロナ変異株の影響あり、医療費も高くなると判断している。1年後の期待インフレ率とはいえ、家賃が上がり、医療費がアップする状況では、ますます暮らしにくくなる。ただし、インフレにより賃金がアップすることの期待値も含まれているようです。5%は、米国のインフレ目標である2%を大幅に上回っても、金融市場は一時的なもの、あるいは半導体不足による特殊要因というコンセンサスで、不況下の物価高、1970年代のスタグフレーションの可能性は低いという楽観的な見方です。
一方で、こうしたコストプッシュによる物価高が With COVID-19の時代の恒常的な要因によるものとの見方も一部ではあります。その要因を私なりにまとめると
1ー COVID-19の感染拡大縮小サイクルが定着化すると、需要のボラティリティが高まり、生産のムリムラムダが生じて結果的にコストが高まる
2ー航空機・船舶・陸運などは多額の初期投資の減価償却を固定費として、貨物・旅客運賃で回収する装置産業で、長期需要が伸び悩み生産投資意欲が下がる
結果ヒトモノカネの移動に関わるコストが高まる
ー国産回帰は長期的には悪い話ではないですが
3ーこれまでに類を見ない金融緩和により、不動産を中心に資産バブルが発生しており、これが住宅賃料などの価格に徐々に転嫁されつつある
4ー米中の覇権争いによる、市場の分断、いわゆるデカップリングが起きつつあり、中国で低コストで生産されるユニクロの衣料品や、野菜、電化製品など価格が上がってしまう。
ー国産回帰は長期的には悪い話ではないですが
となります。今晩米国消費者物価指数が発表されます。果たしてどうなるか?