中国政府、アリペイ分割検討 融資事業向けに新アプリ=FT
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注目のコメント
昨年アントが公表した上場目論見書によると、融資事業が決済事業を超え、最大の稼ぎ頭になっています。
問題視されているのが、融資の原資となる資金の調達方法です。アントの上場目論見書にこう記されています。
「我々は、当社のプラットフォームを通じて実施された融資の規模に応じ、提携金融機関から技術サービス料を得ている。我々のアプローチは、自社のバランスシートを利用せず、担保も提供しない。2020年6月30日現在、当社のプラットフォームを通じて実施された融資残高のうち、約98%が提携金融機関による貸出か証券化されている。」
つまり、2兆元に上る巨額融資のほとんどは、アントが自己資金を投じることなく、提携金融機関などの外部資金を用いることで信用リスクを外部に転嫁し、自らはリスクを取らず手数料で稼ぐというアプローチをとっているのです。
今年に入り関連規制が矢継ぎ早に出されています、フィンテック企業の融資事業に関しては、今後も厳しい対応が迫られると思います。報道が事実ならば中国政府によるアリペイの事実上の統治です。力が強くなりすぎたアリペイを分割し、戦略物資であるビッグデータを召し上げる。今後他の企業にも波及する可能性があります。
西村先生のコメントにあります通り、アリババの融資事業は、自分のお金は使わず、借り手と貸し手のマッチングをして儲けるビジネスだったため、返済能力のない若者、学生などの与信審査もじゃんじゃん通して借金まみれにし、貸し手である金融機関も多額の不良債権を抱える、という大問題が起こっていました。そこに政府が「やりたい放題しすぎだろ、いい加減にせい」と規制をかけた、という格好です。
どこまで介入するかはこれから明らかになってくると思いますが、これをもってアリババの終わり、とか、中国政府により民間企業統治のはじまり、みたいなのは大袈裟な気もします。